改正特商法/営業所長も業務継続禁止の対象に/政省令の内容固まる

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消費者委員会のようす

消費者委員会のようす

 消費者委員会は6月20日、改正特商法の政省令案について議論を行い、消費者庁案を全会一致で承諾した。消費者庁案には、業務停止命令時の業務継続禁止規定の対象に営業所長も含めることや、親会社・子会社にも立入検査を可能にすることなどが盛り込まれている。



《NBリーダーの業務継続も禁止》

 12月1日の改正特商法の施行に向け、政省令案について、6月12日に経済産業省が、6月20日に消費者委員会が議論を行い、どちらも政省令改正案を全会一致で了承した。政令案については、政府が閣議決定を行った後、12月1日の改正特商法施行と同日に施行される見通しとなった。
 改正特商法の政令案には、(1)業務停止の対象に「営業所長」や「外販部長」も含める(2)立入検査の対象に、親会社・子会社も含める(3)特定継続的役務に、一部の美容医療を含めるーーーなどが盛り込まれている。また省令案には、SNSによる呼び込みもキャッチセールスなどと同列に扱うことが盛り込まれた。
 改正特商法では新たに、業務停止を命じられた企業の経営者などが、「同業他社を立ち上げる等して事業を継続する」ことも禁止する。
 政省令案では具体的に、業務継続が禁止される対象として、「営業所又は事務所の業務を統括する者」(政令案)や「部長、次長、課長その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、これらの号に規定する業務を統括する者の職務を日常的に代行する地位にある者」(省令案)を挙げている。
 ネットワークビジネスなど、営業所を持たない業態の場合でも、会員を統括するリーダーは、業務停止を命じられた業務の継続が禁止される。「外販部長のような、会員にはっぱをかけたりする役職は対象になる」(消費者庁取引対策課・落合英紀専門官)と言う。対象となるのはあくまで、業務停止が命じられた販売行為の統括者であるため、「バックオフィス部門は一般的には(対象に)当たりづらい」(同)と話している。
 改正特商法では立入検査の対象に、「密接関係者」も新たに加えている。「密接関係者」の具体例として政令案では、「販売業者等の子法人等、販売業者等を子法人等とする親法人等、又は販売事業者等の関連法人等」を挙げている。
 訪販業者が処分される場合、その親会社・子会社に対して、「特定商取引に係る業務に対する指示、協力その他の関与」に関する報告・資料の提出を命じることが今後は可能になる。
 今回の制度改正について、消費者委員会の委員を務める池本誠司弁護士は「複数のグループ企業で業務を分散して処分を逃れる悪徳企業に対して、特商法の実効性強化が期待できる」と話している。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月22日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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