出版大手/通販カタログ活用が多様化/他社に同封、部数増に効果

新潮社の「優越感具現化カタログ」。発行部数を倍増した

 出版大手が通販カタログの活用を多様化している。雑誌の販売数が伸び悩む中、カタログを中心にECサイト、ウェブメディアなどを連動させたメディアミックスを推進。雑誌のコンテンツ力を強みにしながら、新規顧客を獲得するツールとしてカタログを軸にした展開を積極化している。新潮社はカタログ請求を促す施策として他社の媒体も活用。集英社や世界文化社は新たな層へのアプローチを狙いカタログの創刊や刷新などに動いている。

■百貨店カタログを活用

 新潮社は主にカタログとチラシで、通販の新規顧客の獲得を進めている。自社カタログの告知を目的に、6月13日から大手百貨店の通販カタログにチラシ5万5000枚を同封している。百貨店の商品と重ならない商品を抜粋してチラシに掲載、百貨店の顧客にカタログ請求を促している。
 従来、カタログは「週刊新潮」「芸術新潮」「エンジン」など雑誌の定期購読者に毎回約1万6000部送付してきた。主な顧客層は新潮の読者層と同じ60〜70代。売り上げ成長を継続させるために主要顧客層よりも若い世代へもアプローチしていくことにした。チラシをきっかけに百貨店の優良顧客も取り込むことで今後の成長につなげたい考えだ。
 チラシを展開したことでカタログ発刊後の売り上げを一定レベルで持続させることに成功している。5月25日にカタログ夏号を発行。その後、百貨店カタログにチラシを同封した6月15日ごろから「徐々に百貨店効果が出てきており、落ち着きを見せていた売り上げが復活の兆しをみせている」(ウェブ事業室)と言う。
 百貨店のカタログ活用は3回目。今年4月には、住宅メーカーのミサワホームのオーナーズマガジン10万部にもチラシを同封した。これまでカタログ春号における売り上げは800万〜1000万円程度で推移してきたが、今年は3000万円ほどの売り上げがあった。
 売り上げ増に貢献しているのはチラシだけではない。「昨秋からカタログの発行部数を大幅に増やしたことも寄与している」(同)。
 昨秋から、新潮社の新刊ラインアップを紹介する雑誌「波」の定期購読者約1万6000人にもカタログの送付を始めた。それに伴い、カタログの発行部数を従来の2倍以上となる3万5000部に増やした。
 今年に入ってからの半年間の売り上げは例年の1.6倍のペースで推移しているといい、17年1月〜12月の売り上げは前年比60%増の2億円を目指す。

■10年で初の増刷

 カタログの創刊や刷新により新たな層にアプローチをかける動きも進んでいる。
 集英社は4月から、40〜50代の女性を対象にした「エクラ」の休眠顧客を掘り起こす目的で、50歳以上の女性に向けた通販カタログ「LaVivant(ラヴィヴァン)」を発行している。アパレルECサイト「エクラ」が主に対象とする年齢層を超えた顧客向けの新たな媒体となっている。
 「ラヴィヴァン」の発行後は、会員以外からの問い合わせも多く、これに対応するために10万部を増刷した。カタログを増刷したのは初めてのこと。売り切れる商品も少なくなかったという。
 世界文化社は今年2月、主力の通販カタログ「家庭画報セレクション」を刷新した。60〜70代を中心とした既存顧客層に加え、50〜60代の新規顧客を獲得したい考えだ。商品展開も改め、価格帯にも幅を持たせた。カタログは年4回、9万部を発行している。

■雑誌の通販ページ強化

 通販と連動する雑誌を増やす動きもある。
 小学館の通販事業である「大人の逸品」は従来、「DIME」「BE—PAL」「サライ」などと通販ページを連動することで売り上げを拡大してきた。この5〜6年で売り上げ規模は倍増したが、17年2月期の通販事業の売り上げは前期から横ばいの15億円と伸び悩んだ。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月22日号で)

世界文化社の「家庭画報セレクション」。年4回、9万部を発行

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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