消費者契約法専門調査会/「故意または重過失」に変更か/「不利益事実の不告知」で

 消費者委員会は5月26日、消費者契約法(消契法)の改正に向けた専門調査会を開催し、消費者にとって不利益が生じると事前に知っていながら故意に告げないとする「不利益事実の不告知」の在り方を巡り議論を交わした。
 現行法では、不利益事実を故意に告げないことで消費者が誤認し、契約した場合、その契約を取り消せることができるとしている。
 この日は「故意または重大な過失によって」と変更することを議論し、これに賛成する意見が目立った。丸山絵美子委員(名古屋大学大学院法学研究科教授)は「利益告知や重要事項が問題となっている場面で、事業者はどういう義務を果たすべきで、著しい不注意とはどういう場合に言えるのか。そこを丁寧に考察して盛り込んでほしい」と注文を付けた。
 山本敬三座長(京都大学大学院法学研究科教授)は「改正する方向で了承が得られたと認識している」と話し、今年7月以降、最終的な取りまとめに入りたい考えだ。
 「平均的な損害の額の立証に関する規律の在り方」についても議論が行われた。平均的な損額とは、同じ事業の同じ種類の契約が解約された場合に、その事業者に生じる平均的な損害額を指す。
 消契法第9条第1号では、契約が解除された場合、高額な損害賠償金、違約金、キャンセル料などの支払いを防ぐため、その事業者に生じる平均的な損害を上回る部分については無効にすると規定している。
 「平均的な損害の額」の立証責任は消費者にあるが、その額を算定する根拠となる資料を事業者側が提出しないケースも多く、現行法では証明するのは消費者にとって困難な状況となっている。
 このようなケースを緩和するため、「事業の内容が類似する事業者に生じる平均的な損害の額」から「当該事業者に生じる平均的な損害の額」を推定できる規定を設ける方向で議論を進めている。
 出席した委員からは「現行法では消費者の立証は困難。推定規定を設けることに賛成する」との意見が出た。
 ただ、類似性をどこまで細かく規定するかについては意見が分かれており、7月以降に再び話し合いが行われる。
 一般社団法人新経済連盟は4月に行われたヒアリングで、同じ種類の事業を行う事業者に同業他社が含まれることになれば、事業規模の違いや参入時期の違いなど、事業者によって平均的な損害の額が異なると指摘。その上で「同業他社の状況で当該事業者の平均的な損害額を推定すべきではない」としていた。

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