トクホ買い上げ調査/7品目中2品目に問題/17年度は30品目を調査

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記者発表する赤﨑暢彦食品表示企画課長

記者発表する赤﨑暢彦食品表示企画課長

 消費者庁は5月17日、特定保健用食品(トクホ)の買い上げ調査結果を公表した。消費者庁が6社7品目のトクホについて調査した結果、1社2品目のトクホについて、関与成分が適切に含有されていないことが分かったという。消費者庁では「17年度(17年4月―18年3月)中に、計30品目のトクホについて買い上げ調査を行う」(赤﨑暢彦食品表示企画課長)方針だという。
 今回、「関与成分が適切に含有されていなかった」と公表された商品は、佐藤園(本社静岡県、佐藤公彦社長)がトクホ申請を行っていた、健康茶の粉末「ドゥファイバー粉末スティック〈グアーガム〉」と同「緑の促茶」の2品目。「ドゥファイバー」の販売は大正製薬が行っていた。
 関与成分は2品目ともに「グアーガム分解物(食物繊維として)」だった。2商品とも1包4グラムあたりに2.6グラムの関与成分が含有されていなければならなかったが、消費者庁の調査では規格値の約8割しか含まれていなかったという。
 消費者庁では16年9月、日本サプリメントの問題を受け、事業者に文書での報告を求める、トクホの全品調査を実施していた。佐藤園は全品調査の際には、「14年4月に実施した分析結果を提出した。その際は、規格値をクリアする旨の結果が得られていた」(食薬研究所)としている。
 佐藤園によると「今回消費者庁からは16年3月以降に販売しているロットについて指摘があった」(同)と言う。「16年3月以降に販売しているものについても、原料メーカーの太陽化学から仕入れをする段階では、書類上の規格値は満たしていた。太陽化学の子会社のインド工場で実施された検査では規格値を満たすという結果がでていた。ただ、消費者庁から指摘を受けて自社で最終製品の検査をしたところ、1包あたり2.15~2.55グラムしか含有していないことが分かった」(同)というのだ。「消費者庁からの指摘を受けて、原料自体についても、当社と太陽化学が共同で国内での検査を行ったところ、インドでの計測値を下回っていることが判明した。原料の段階で、なぜ検査結果に食い違いが出ているのかについては現在調査中」(同)としている。
 太陽化学は本紙取材に対し「事実を確認したうえで回答する」(ニュートリション事業部)とだけコメントしている。
 大正製薬では「ドゥファイバー」を10年8月に発売し、店頭販売と通信販売で取り扱ってきた。これまでの累計販売数量については「非公表」(コーポレートコミュニケーション部)としている。同社は5月17日から自主回収を開始しており、「返金に応じる」(同)としている。
 「緑の促茶」は佐藤園が自社通販で販売するほか、販売代理店に卸を行っていた。佐藤園によると「16年3月の発売以降、自社通販を中心にこれまで4000箱を販売した」(食薬研究所)としている。佐藤園も5月17日から自主回収を開始し、返金に応じている。
 両社ともに、「製品自体の安全性についての懸念はないと判断しており、現在までに本件に起因すると考えられる健康被害の報告はない」としている。
 なお消費者庁は「今回のケースでは、測定値が規定値を著しく下回っているわけではなく、また佐藤園も大正製薬も積極的に自主回収を行っているため、両社に対し、行政処分を行う予定はない」(赤﨑課長)としている。

「ドゥファイバー」を販売する大正製薬のサイト画面

「ドゥファイバー」を販売する大正製薬のサイト画面

「緑の促茶」を販売する佐藤園のサイト画面

「緑の促茶」を販売する佐藤園のサイト画面

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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