クロレラチラシ配布差し止め請求訴訟/新経連など「反対」変えず/最高裁「広告も勧誘」判断受け

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 「クロレラチラシ配布差し止め請求訴訟」(別掲参照)で、最高裁判所第3小法廷(山崎敏充裁判長)は新聞折り込みチラシなど不特定多数の消費者に向けた広告も消費者契約法(消契法)の「勧誘」に当たる可能性があるとした。消費者契約法の逐条解説では、不特定多数向けの広告は勧誘には含まれないとしているが、今回の判決により、紙媒体に加え、ネット上の表示にも影響を及ぼす可能性が出ており、消費者契約法の改正議論で争点となりそうだ。関係団体からは、断固反対を貫く意見が上がっている。広告規制を巡る議論が再燃しそうだ。


■今後の議論に影響か
 消契法の改正を巡っては、14年11月から専門調査会が見直しについて検討している。「勧誘」の要件に広告一般を含めるかどうかについても議論したが、15年10月に行ったヒアリングで広告関連団体が反対を表明。委員間でも合意に至らなかったことから、16年6月に公布された改正消契法には盛り込まれず、2~3年以内に結論を出す積み残し課題とされていた。
 ただ、昨年9月に消契法の専門調査会が再開され、第2次改正に向けた議論の中で、広告規制を巡る「勧誘要件の在り方」が優先的に取り組むべき課題として挙げられている。最高裁が「広告も『勧誘』に当たりうる」としたことで、今後の議論の行方が注目される。

■「不特定多数向けも勧誘」

 消契法の逐条解説では、勧誘について「消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える程度のすすめ方をいう」と説明している。
 さらに「特定のものに向けた勧誘方法は『勧誘』に含まれるが、不特定多数向けのものなど客観的に見て特定の消費者に働きかけ、個別の契約締結の意思の形成に直接影響を与えているとは考えられない場合(例=広告、チラシの配布、商品の陳列、店頭に備え付けあるいは顧客の求めに応じて手交するパンフレット・説明書など)は『勧誘』に含まれない」と解説している。
 ただ、最高裁は、広告から消費者が商品の内容や取引条件などを具体的に認識し得る場合、「不特定多数に対するものであっても、そのことをもって『勧誘』に当たらないと判断することが適当とはいえない」と言及した。不特定多数に向けた広告も勧誘と見なしたことで、勧誘要件の対象が拡大するおそれもある。
 今回の判決に対し、広告関係団体・企業はどのような反応を見せているのか。
 一般社団法人新経済連盟は一昨年から、広告が勧誘に含まれるとして広告に不当勧誘規制を課すことに対し、強く反発している。最高裁の判決によって従来の主張を変えることはないという。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月2日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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