住宅診断の案内が義務化へ/《インスペクション》リフォーム訪販にも追い風に

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 住宅の瑕疵を診断する「ホームインスペクション」がリフォーム訪販業界で注目を集めている。今年5月に国会で成立した改正宅地建物取引業法では、中古住宅取引をする仲介業者に「インスペクションの案内」が義務付けられることとなった。インスペクションの案内義務化を商機ととらえ、取り組みを積極化する訪販会社もある。


 インスペクションとは、「中古住宅の健康診断」のような取り組み。一般的には、専門知識を持ったインスペクター(診断士)が、屋根上から床下まで住宅全体の状態を目で見て、欠陥の有無や改修すべき箇所、かかる費用などについて診断する。中古物件の取引時に行われることが多いが、リフォーム事業者の現地調査も、広い意味ではインスペクションに含まれる。
 インスペクションの資格「ホームインスペクター」は民間資格であるため、資格を持たなくてもインスペクションを行うことは可能だ。
 5月に成立した改正宅地建物取引業法には、不動産仲介業者が中古住宅の取引を行う際に(1)インスペクションが行えることを買い手に伝えること(2)買い手が求めた場合、インスペクション事業者を紹介すること(3)既にインスペクションを行っている場合、その結果を買い手に伝えること(4)インスペクションの担当者を建築士に限ることーーーなどが盛り込まれた。
 リフォーム訪販会社の中にもいち早くインスペクションをサービスメニューに加える企業が出て来た。
 総合リフォーム訪販を手掛けるオンテックス(本社大阪府、樋口一社長)は、営業マンのトーク材料として、インスペクションが今後重要になるとみている。同社では、全営業マンに対して、インスペクションに関する基礎知識の周知を進めている。「相見積もりが増えて値下げも増えている。追加サービスとしてインスペクションを行うことで、値下げに頼らない営業ができれば良い」(石川一平企画戦略課)と話す。
 日本インスペクターズ協会の池谷和浩事務局長によると「インスペクションを行っていない中古住宅には、正当な価格がつかなくなりつつある」と言う。法的に義務付けられた部分だけでなく、インスペクションの需要は拡大していく可能性がある。


(続きは、「日本流通産業新聞」10月27日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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