電通×トヨタ/ネット広告不正請求問題/通販企業に求められる自衛手段/媒体社データの独自検証が有効

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 電通は9月29日、トヨタを含む111社に対して、計約2億3000万円のデジタル広告費用を不適切に請求していたと発表、業界を驚かせた。ネット広告を多用する通販・EC業界にとって、この問題は対岸の火事ではない。識者の見解を総合すると、通販事業者にとっての有効な自衛策の一つは、媒体社から提供されるデータを広告主である事業者が自ら確認し、報告書を検証することだといえそうだ。費用対効果を重視した柔軟な広告運用を行うことも、悪質な代理店から身を守る上で有効だという。


■未掲載の広告費請求も

 電通の過剰請求は、出稿状況が確認しづらいネット広告で発生した。広告の掲載媒体から電通が受け取ったデータと、電通が広告主に提供する報告書のデータとの間で、広告期間や実績などに差異があった。その結果、誤った報告書に基づく請求書が作成され、中には広告未掲載にも関わらず請求を行った例も見つかったという。
 同社は「人為的ミスや不適切業務」と表現しているが、報告書作成時にデータが改ざんされた可能性がある。
 電通の過剰請求は「デジタル広告の構造的問題を反映しており、電通1社の問題ではない」と指摘する声も業界内にはある。ネット広告はユーザーのクリックごとに広告費が発生するため、事前に決めた広告予算を早く消化しすぎてしまったり、なかなか消化しきれなかったりといった問題が起こりがちだ。そのことが、広告掲載実績の虚偽報告が発生する背景となっている可能性があるという。事実、今回の電通の案件では、決められた予算が期間内に使いきれなかったために、虚偽の広告掲載実績を報告した疑いがもたれている。
 ただ、業界関係者の中には、広告の費用対効果を重視する通販業界では、今回のような問題は起こりにくいとする意見もある。通販広告の場合、ブランド周知のための広告のように、「期間内に予算を使い切る」ことが重視されることがあまりないからだという。しかし、だからといって、通販業界が広告代理店の不正請求問題と無縁だとはいえないだろう。悪質な代理店のカモにされないよう、最低限の自衛策は講じておくべきだ。


■データを常に確認すること

 通販事業者が、虚偽の報告や過剰請求から自衛するには何をすればよいのか。最も単純な解決策は、媒体社からのデータを自ら確認することだ。広告を掲載した媒体社からのデータは、自動的に広告代理店に送られ、代理店はネット広告の「管理画面」で出稿状況を確認している。
 広告主が管理画面を閲覧できるかは、代理店との間の契約による。ただ、ネット広告のコンサルティングを行う、売れるネット広告社の加藤公一レオ社長は、「管理画面を広告主と共有することは広告主の権利」と指摘する。
 同社の場合は、広告主と管理画面を共有することを社内ルールで定めることにより、社員による数値の不正を防止しているという。「通販業界は他の業界に比べ、管理画面を自ら確認しようという意識が全体的に高い」(同)と言うが、「業界全体を見渡すと、管理画面を共有しているのはまだ全通販会社の半分ほどにとどまるのではないか」(同)と同社ではみている。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月6日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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