東京都/悪質事業者対策に重点/次期消費者基本計画の策定に着手

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 東京都では、消費者行政の基本方針となる次期5カ年分の「消費者基本計画」の策定を目的に、弁護士や大学教授などで構成する専門部会が議論を進めている。10月中旬までに開催する計4回の会合を経て、11月中旬の「第2回総会」で中間とりまとめを行う予定だ。検討課題では、悪質事業者への行政処分や行政指導の執行強化のほか、消費者被害の救済の充実、不招請勧誘規制について、委員から積極的な意見も出されている。17年1月に予定している答申に向けて、議論の行方が注目される。


《迅速な行政処分や指導強化を検討》

 都では、行政処分を逃れるために、短期間で会社の設立と廃業を繰り返す事業者や、頻繁に広告表示を変える事業者が増加傾向にあることを問題視している。不適正な芽を早期に発見して、より迅速な指導や処分を実現するために、より幅広く事業者情報を収集できる調査手法の検討を進めている。
 法執行体制の強化も検討する。無意識に法違反を犯す事業者よりも、法律を熟知したうえで、意図的に法逃れを行うような悪質な事業者が増加していることから、指導や処分の難易度が高まりつつあるという。より精度の高い事実認定や法令適用などが行える法の執行体制の強化も検討する。
 事業者のコンプライアンス意識の維持や向上を推進するため、15年度に実施した「コンプライアンス講習会」の参加促進や業界団体、事業者団体と連携した。コンプライアンス意識の低い事業者の状況を把握した上で、意識の啓発につなげる。


《不招請勧誘規制も討議》

 8月4日に開催した第2回検討部会では「訪販お断りステッカー」の必要性について、弁護士の石戸谷豊委員が提案を行った。奈良県生駒市や北海道などでは、条例の中にお断りステッカーを盛り込んでいる事例を紹介し、その必要性や有効性について説明した。出席した委員からは、導入に前向きyな意見が出された。
 こうした議論を踏まえ、生活文化局消費生活部企画調整課は「部会長や会長、事務局側で中間とりまとめ案に盛り込むかどうかを決める」と説明。実際に計画に盛り込まれるかどうかは不透明となっている。
 事務局では、4回の検討部会を経て、11月をめどに中間とりまとめ案を提案する見通しで、新たな規制が盛り込まれる角かについて注視していく必要がありそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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