楽天/他モールとの差別化/量から質へ、グループでブランディング戦略本格化

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 楽天が、アマゾンやヤフーなど通販モール各社との差別化に本格的に乗り出している。楽天カードや楽天モバイルなどの併用で「楽天市場」の買い物で付与される楽天スーパーポイントが常時最大7倍になる「スーパーポイントアッププログラム(SPU)」に代表されるように、グループ全体でLTV(ライフタイムバリュー=顧客が長期的に生み出す利益)の向上に取り組んでいる。「楽天市場」が出店者や商品点数の量的拡大期を経て、質的向上に力を入れる時期にきたと判断、サービスや売り場の品質アップに努めている。9月1日からは違反点数制度も開始。これまで「楽天市場」で違反行為があった出店者に個別対応をしてきたが、違反行為を明確化して対策を講じる。


■ポイントの優位性

 「楽天市場」は17年で開設20年を迎える。開設時から出店営業と出店者の売り上げ拡大をサポートするECコンサルタント(ECC)を置き、店舗数と商品点数を拡大してきた。
 02年に「楽天スーパーポイント」を導入。大型セール企画やポイントを活用したキャンペーンを数多く展開して流通総額の拡大を続けている。
 「楽天市場」の開設当初は通販モールの存在が珍しく、楽天が大きなシェアを獲得してきた。しかし、他社モールが成長していくにつれ、「楽天市場」以外にも出店を始める出店者が増えてきている。
 同じ商品がどのモールでも購入できる状態といえる今、自社のモールを選んでもらうためには(1)買い得感(2)使いやすさ(3)親しみやすさ(ブランディング)ーーの三つの要素が重要と楽天では捉えている。
 「買い得感」については、楽天スーパーポイントが機能し始めている。「楽天市場」だけでなく、「楽天トラベル」での購入や楽天カードでの支払い、楽天ID決済の利用など、各種グループのサービスで共通して貯めることができる。
 「Amazon.co.jp」や「ヤフー!ショッピング」といった大手モールと競合するのではなく、楽天はグループサービス全体としての競争力を強みにしている。
 現在は国内だけでも約70サービスを展開しており、「楽天は特にグループサービスが多いと自認している」(河野奈保上級執行役員)と話す。
 その上で、「『楽天市場』だけで20年もトップを走れると当初から思っていなかったからこそ、早期に金融などのグループサービスを作り、ポイントとIDを連動させてきた。今の状況を見越して作り上げてきた多数のサービスが、ようやくシナジーを生み始めた」(同)と語る。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月1日号で)

出展者への配布を開始した「店舗運営ガイドブック」

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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