BtoB通販/PB商品拡充でロイヤル顧客育成/モノタロウ、カウネット業績伸長

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PB商品だけを掲載したカタログなど、訴求方法が多様化している

PB商品だけを掲載したカタログなど、訴求方法が多様化している

BtoB通販PB商品拡充でロイヤル顧客育成モノタロウ、カウネット業績伸長
 BtoB(法人向け)通販企業がプライベートブランド(PB=自主企画)商品の拡充を進めている。工具などのMonotaRO(モノタロウ)の16年6月期中間連結売り上げは前年同期比21.7%増の332億9700万円だった。PB商品の品ぞろえの拡充が増収要因となった。コクヨグループのカウネット(本社東京都、高橋健一郎社長)もPB商品の強化を進めており、近年は増収を続けている。価格追求型や付加価値型など多様なラインアップを用意することでロイヤルカスタマーの育成を狙っている。



■品数、ジャンルを拡充

 モノタロウの16年6月期中間連結決算は、売上高が前年同期比21.7%増の332億9700万円、営業利益が同31.3%増の45億900万円、経常利益が30.9%増の45億1000万円、純利益が同36.7%の29億7700万円だった。
 同社はナショナルブランド(NB)商品、PB商品ともに数を拡大しており、現在の取り扱い商品総数は900万品目超。3年前の約300万品目から約3倍に拡大している。
 PB商品は、標準価格の「モノタロウ」、品質重視の「男前モノタロウ」、価格追求型の「大阪魂」の3ブランドを展開している。こうしたPB商品点数は合計約34万品目。12年にネジなどの取り扱いを本格化したことで大幅にアイテムが広がった。15年12月期の連結売上高556億700万円のうち、PB商品の売り上げ構成比は約23%となる約127億8900万円だった。12年にPB商品数を大幅に増加して以降、その割合は一定推移している。
 PB商品について「極めて重要な位置づけ」(広報グループ)としている。ただ、PB商品の認知度はまだ低いと考え、今後の販売拡大にはNB商品の充実も欠かせないとみている。
 有名メーカーの商品を目当てにサイトへアクセスする顧客が多いため、NB商品と一緒にPB商品も表示。「顧客により安価なPB商品を提案し、PBにスイッチしてもらう」(同)考えだ。PB商品に移った顧客は継続的に利用する傾向にあるといい、顧客ロイヤリティーの向上につなげている。注文から1年間返品に対応するサービスも強みにしている。
 サイトでのレコメンドのほか、カタログ、チラシ、メール、FAXでの販促も強化してPBを訴求する。今年6月に、PB商品だけを掲載した専門カタログ「経費節減カタログ」の最新号を発刊。14年に発行した前号から100ページ増やした。最新号では約2000品目の新商品を追加し、全70カテゴリーで約1万3000品目を掲載している。新たに農業資材、厨房用品のカテゴリーをラインアップに加え、近年利用が増加しているという農業や飲食店ユーザーのニーズに応えている。創刊号から増刷を重ねており、最新号は20万部を発行した。
 PB商品の生産は、中国、台湾、韓国などアジアを中心に行っている。海外生産における専門部署が販売データを基に需要を予測し、無駄のない在庫管理を徹底している。
 今後も、NB商品とのバランスを取りながらPB商品数とジャンルを広げて売り上げと利益の向上につなげていく考えだ。


■付加価値型で差別化

 カウネットは13年からPB商品の取り扱いを強化しており、売り上げ伸長につなげている。15年12月期の通販売上高は、前期比3.6%増の633億円だった。PB商品で他社との差別化を図り、ロイヤルカスタマーの育成を進めている。
 「他社がさまざまなやり方をする中、当社はPB商品で成長を図る」(広報担当)としている。PBは価格重視の「カウコレプライス」、付加価値型の「カウコレプレミアム」の2種類を用意している。
 今年2月に発行したカタログでは、合計で約4万3000品目(前号比約2200品目増)を掲載した。そのうち、PB商品は約7200品目(同約400品目増)で全体の約17%を占めている。13年時点の計画では3年以内にPB商品を5000品目まで増やすとしていたが、これを大幅に上回るペースとなっている。

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