ベネッセコーポレーション/「脱DM」で対面サービス強化/店舗、電話、訪問で会員離脱防ぐ

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店舗「エリアベネッセ」では、商品の体験が出来る

店舗「エリアベネッセ」では、商品の体験が出来る

ベネッセコーポレーションは、店舗や訪問などによる対面サービスを本格化する。個人情報流出事件で休止していた新規顧客向けの営業を11月から再開。ダイレクトメール(DM)による販促手法は手控え、会員とのコミュニケーションを密にして信頼回復につなげる考えだ。対面サービスの一環として、初の店舗となる「エリアベネッセ」を都内2カ所にオープン。15年4月に全国500カ所の開設を目指す。勉強に関する相談を非会員からも受け付ける電話相談窓口も12月1日に開始する。これまで、「赤ペン先生」による添削が唯一のコミュニケーション手段だったが、タブレット端末によるデジタルとの融合や、店舗、電話相談などのさまざまなチャネルを駆使し、退会率の防止につなげる構えで、業績回復の地盤固めを急ぐ。

デジタル戦略で残存率が向上

 ベネッセホールディングスの14年9月期中間決算は、中間純損失が20億9500万円で、95年の上場以来初の赤字決算となった。中間売上高は前年同期比1・3%増の2331億7800万円と増収を維持。原田泳幸会長兼社長は「個人情報流出の割には顧客継続率が維持できたため、中間期は増収となった」と述べた。個人情報流出事件の影響で特別損失を300億円計上したことに伴い、15年3月期における純損失は最大で90億円となる見通しだ。
 原田社長はこれまでも「家庭学習事業の最大化なくして成長はない」という考えを強調してきた。デジタルとの融合を強化することで、通信教育の立て直しを進めている。その一環として4月に始めた小学生~高校生向けのタブレット講座がここまで順調で、中間増収の成果につながっている。タブレット講座「チャレンジタッチ」は、当初の予想を上回る91万人が利用した。
 「進研ゼミ」は今期、14年4月の会員数が前年同月比5.3%減でスタートした。ただ、小学講座は減少率が他の層よりも小さく、タブレット講座が紙のみの講座よりも継続率が12ポイント上回ったとしている。
 7―9月期(純第2四半期)における進研ゼミの退会者数は前年より23ポイント改善した。新規入会募集を休止していたにも関わらず、新規入会者数は前年同期実績の6割減に留めた。原田社長は「事故の影響は会員の残存率という点でほとんどない。ロイヤルカスタマーにしっかり支えていただいた」とみている。
 15年4月からは、受験生会員向けのデジタルの新教材となるアプリケーション「Dサプリ」を投入する。教材をデジタル化し、よりセグメント化することで、進学塾への離脱を防ぐ。

(続きは本紙11月13日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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