機能性表示食品制度・検討会/「栄養成分」の対象化は見送りか/「関与成分不明確商品」は議論前向き

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検討会の議論について「健康食品業界は劣勢」との声も

検討会の議論について「健康食品業界は劣勢」との声も

 今年1月に議論を開始した、機能性表示食品制度の対象範囲拡大についての検討会が折り返し地点を迎えた。「栄養成分」や「機能性関与成分が明確でない食品」を機能性表示食品として認めるかがメーンテーマ。これまでに開かれた、5回の会合の議論の進展からすると、「栄養成分」の対象成分化については見送りの公算が高まっている。一方、「機能性関与成分が明確でない食品」については一定の条件のもとで範囲内に含めることについて、コンセンサスが整いつつあるようだ。通販事業者からは対象成分の拡大に期待を寄せる声も多数上がっている。

■ローヤルゼリー、健康茶など対象なるか
 今回の検討会について、期待感を持つ通販会社は少なくない。業界事情に詳しい、ある通販会社の機能性表示食品の開発担当者は「『機能性関与成分が明確でない食品』を対象に含めることができるようになれば、これまで難しかった、ローヤルゼリー配合の健康食品や、健康茶についても機能性表示食品化の可能性が高まるのではないか」と期待を寄せる。「栄養成分についても、安全性のデータが特に多い、カルシウムやビタミンDは制度の対象になる可能性があると期待しており、そうなれば市場の拡大にもつながるだろう」と話す。
 ローヤルゼリーの健康食品を取り扱う八幡物産も「機能性表示食品化できる幅が拡大すれば、当社の商品の中で機能性表示食品化できる品目数も増える」(総務部)と少なからず期待感を持っているようだ。
 ビタミンDなど栄養成分を配合した健康食品を扱う森下仁丹も「幅が広がれば、機能性表示食品を中心に構成するブランド『ヘルスエイド』のラインアップも拡充できる」(広報)としている。
 事業者の期待感は高いようだが、実際の議論の展開はどうなっているか。
 これまでに5回の検討会が開催された中で、「栄養成分」の対象化は見送りの公算がますます高まっている。「機能性関与成分が明確でない食品」については一定の条件を設けて認めていくという方向に議論が進みつつある。
 これまでの検討会の流れについて、(一社)健康食品規格協会(JIHFS、事務局東京都)の池田秀子理事長は「健康食品業界は劣勢」であると指摘する。「業界団体の足並みがそろっていないことが劣勢を招いている。業界団体としての要望を、理論武装した上で具体的に表明しなければ、学術サイド、消費者団体サイドの委員を納得させることはできないのではないか」(池田氏)と情勢を分析する。
 とはいうものの、一部の委員が初会合から現在に至るまで、今回の検討会のテーマとはなっていない「制度全体の改善」を求めるなど、消費者団体サイドを中心に〝そもそも論〟の蒸し返しが続いており、そのことが議論の進展を阻んできたという見方もできるだろう。


■「栄養成分」の対象化に難色
 「栄養成分」の取り扱いについては、学術サイドから「過剰摂取など安全性の担保が難しいのではないか」という問題提起がなされた結果、議論は、「栄養機能食品の制度がある以上、同制度で可能な範囲内で機能をうたえばいい」という方向に進みつつある。つまり「わざわざ機能性表示の対象に加える必要はない」というわけだ。
 (一社)国際栄養食品協会(事務局東京都)の天ケ瀬晴信理事長も「栄養成分の対象化はかなり難しい方向に向かっている」と指摘する。「国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の梅垣敬三情報センター長が栄養成分の機能性表示食品化に慎重な意見を言うようになった影響は大きい。制度施行前に行われた、前回の検討会では、〝エビデンスも豊富にある栄養成分は新制度の対象になり得る〟という方向性で意見を述べていたのだが……」(天ケ瀬氏)と話す。
 前出の池田氏は「当時、梅垣氏は国立栄養研究所の所属だった。一方現在は、他の独立行政法人と統合し国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の所属になっている。医薬の立場から意見を言わざるを得ず、慎重派のスタンスに傾いたのではないか」とみる。
 ただ、栄養成分の中でも「糖類・糖質」については別扱いとして対象成分化が認められる可能性がある。(一社)健康産業協議会(事務局東京都)が突破口を示した。
 同協議会では、新制度が、栄養成分を対象成分として認めていない一方で、アミノ酸や、一部の脂肪酸、食物繊維を例外としていることを指摘。「血糖値上昇抑制を期待できるパラチノースのように、エネルギー以外の機能を持つ糖類・糖質がある。これらの糖類・糖質は例外として扱うことが可能ではないか」(同協議会)と指摘する。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月23日号で)

機能性関与成分が不明確な食品のクラス分け案

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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