第5回「アジア通販サミット」から(1)/アリババ・グループ 孫炯副総裁/流通額、100兆円に/今後4年間で倍増を狙う

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講演するアリババ・グループの孫炯副総裁

講演するアリババ・グループの孫炯副総裁

 日本・中国・韓国の通販業界団体が主催する第5回アジア通販サミット(日中韓通販サミット)が6月9~10日、福岡で開催された。公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)、中国電子協会(CECC)、韓国オンライン・ショッピング協会(KOLSA)の共同開催で、業界関係者約200人が参加した。2日目には各国代表による講演会が行われた。本紙では今号から、「アジア通販サミット」の講演内容を一部抜粋して掲載する。1回目はアリババ・グループの孫炯副総裁による講演要旨を取り上げる。孫副総裁はアリババにおける今後の戦略やTモールの国際業務などについて説明。日本企業によるプラットフォームへの参加を呼び掛けた。

■前期流通額は約50兆円
 中国におけるECの成長は、グローバルな成長速度を上回る推移となっている。その原因は中国における小売市場のインフラが、海外より整っていなかったからだ。
 例えばコンビニエンスストアだが、日本には「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」の3大コンビニで数万店舗の規模になる。しかし、中国ではすべてのコンビニ店舗を合計しても1万店舗に満たないだろう。
 特に中国の中小都市や農村部においては、インフラの整備が海外より遅れいている。このためECが発展してきた経緯がある。
 アリババ・グループの16年3月期における流通総額は3兆人民元を超え、約5000億ドル(約50兆円)に達した。これは米国のウォルマートが数十年間かけて得た小売額に匹敵するものだ。
 アリババの創始者であるジャック・マーはこのほど、新たな目標を策定した。それは今後4年間で、流通総額を現在の倍の6兆元(約100兆円)にするということだ。そしてわれわれの目標は中国内だけでなく、世界の20億人に向けてサービスを提供するということだ。


■アリババの3つの戦略
 ここでアリババの今後の戦略について言及したい。一つは「国際化・グローバル化」、二つ目は「農村部における市場開拓」、三つ目は「ビッグデータ、クラウドコンピューティング」だ。
 国際化において重要な目標と位置付けているのが、グローバルなECのプラットフォームを構築することだ。全世界の企業がともにECを通じて、自分たちの市場や顧客を得るということだ。
 アリババは国際化を進めるにあたり、ただ単にECを行っているわけではない。コンテンツやサービスの部分など、世界200カ国とさまざまな協力関係を構築しようと考えている。
 これによってアリババのECプラットフォームを世界レベルのものにしていきたい。世界十数億人の若い人たちに向けて、さまざまなサービスを提供したいと考えている。
 次に農村部における市場開拓について説明する。中国では現在、二つの消費者層について成長が見込まれている。一つは中産階級の消費需要が高まっているとういこと。そしてもう一つが中小都市あるいは農村部の需要をいかに掘り起こすかということだ。
 中国には約7億人の農民が存在し、いまだにオンラインやインターネットを利用していない人たちもいる。ただ、農村部においても電気通信のインフラは90%以上普及しており、農村部というのはアリババが新たな市場を開拓する上で絶好のチャンスが見込まれる。


(続きは、「日本流通産業新聞」6月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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