15年度消費者相談分析/特商法関連3業態は相談減/健食通販は相談倍増、NBは若年層目立つ

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グラフ1 特商法関連4業態 相談件数

グラフ1 特商法関連4業態 相談件数

 本紙はこのほど(独)国民生活センター(国セン)の消費生活相談データベース(PIO―NET)の情報(5月25日現在)を集計、15年度(15年4月~16年3月)の消費者相談の傾向と状況について分析し、結果をまとめた。特定商取引法(特商法)に関連する「訪問販売」「マルチ取引」「電話勧誘販売」の3項目では相談件数が前年度比で減少、「通信販売」は横ばいだった=グラフ1。健食通販の相談数は前年度比で倍増した。ネットワークビジネス(NB)に関しては、高齢者の相談が減少した一方、若年層からの相談件数は増加した。

■被服品通販は大幅相談減
 通信販売に関する相談件数は前年度比で0・1%増とほぼ横ばいだった=グラフ2。通販の相談を品目別にみると、昨年まで相談件数が最多だった「被服品」が同26・8%減と大幅に相談件数を減らした。一方で「健康食品」は同83・0%増に、「化粧品」が同36・7%増になり、通販全体としては前年並みの件数にとどまった。
 「被服品」が減少した理由について国センは、「偽ブランド品の販売や『なりすましECサイト』による詐欺行為の被害者が減ったため」と分析している。
 国センの越境消費者センターは13年2月から、模造品の販売が確認された海外サイトの情報公開を始めた。一方、警察庁では13年12月から、セキュリティーソフト会社10社に対して海外の偽サイトの情報を提供する取り組みを行っている。悪質サイトにアクセスした際に、セキュリティーソフトが警告を表示する仕組みにしている。こうした取り組みが一定の効果を発揮し、通販における偽ブランド品の販売が抑制されたと考えられる。
 通販市場から閉め出された偽ブランド品はフリマアプリに流入している。大手ブランドメーカーが加盟する(一社)ユニオン・デ・ファブリカン(事務局東京都、ロラン・デュボワ代表)が行う偽ブランド品の販売ページへの削除要請は、14年の2万8520件から15年は9万9955件に急増している。そのうちCtoCアプリに対する要請の割合は、14年度の12・9%が15年度は78・8%と急拡大している。なお、PIO―NETでは、CtoCアプリによる取引に関する相談も「通信販売」に分類されている。それでも「被服品」の相談件数が減少している理由について、(公社)日本通信販売協会(JADMA、事務局東京都)では、「フリマアプリ運営大手のメルカリが、偽ブランドの疑いがある出品をただちに削除するなど、防止策を徹底していることの影響が大きいのでは」とみている。

■「定期購入」が原因
 健康食品と化粧品の通販では、定期購入の解約について相談するケースが急増している。国センでは、「『健康食品』の通販に関する相談では、〝サンプル品を請求すると自動的に定期購入に移行してしまう〟仕組みに関する相談がほとんど」だと話す。

(続きは、「日本流通産業新聞5月26日号で)

グラフ2 商材別「通信販売」相談件数

グラフ2 商材別「通信販売」相談件数

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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