食の安全・監視市民委員会/食品表示法改正を要望/「販売前商品の疑義申し出を可能に」

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

機能性表示食品制度について批判的な立場をとっている消費者団体、食の安全・監視市民委員会(事務局東京都、神山美智子代表)が食品表示法改正の要望を山口俊一消費者担当相らに文書で提出していたことが明らかになった。同委員会は、同法で規定されている「内閣総理大臣に対する申出」について、販売前の機能性表示食品の届け出情報に関する疑義情報が対象外となっていることを強く批判。改正要望の文書では、申出の対象範囲の拡大を求めている。

 食の安全・監視市民委員会はこのほど、9月1日付で山口俊一消費者担当相や坂東久美子消費者庁長官、河上正二消費者委員会委員長らに対し、食品表示法改正を要望する文書を送付していたことを明らかにした。同委員会では機能性表示食品制度について「制度が食品表示法の中に位置づけられていないので、非常に分かりにくく、使いにくい」(神山代表)と評価。機能性表示制度に関連する部分に限り、「食品表示法の改正を求める」(同)とした。
 同委員会は、食品表示法の機能性表示食品に関連する部分として三つの改正を要望している。
 一つ目としては、「内閣総理大臣に対する申出」について、販売前の機能性表示食品の届け出情報に関する疑義の申し出も可能にするよう要望。現在は申出できる対象が、「消費者庁いわく、『現に販売の用に供されている食品に限る』とされている」(同)と言う。同委員会では新制度が、販売前60日の届出と届出資料の公表を義務付けるなど、「販売前でも、誰もが公開情報を見て科学的根拠等を検討することができる仕組み」になっていることを指摘。その上で、販売前商品も申し出の対象としなければ「販売前60日の届出を義務づけた意味がない」(同)と批判。申出対象の拡大を要望している。
 次に「適格消費者団体の差止請求権」を要望。同委員会では、食品表示法の条文では「機能性表示食品」が差し止め請求の範囲から外れていることを指摘。「対象に加えるよう改正すべき」としている。
 もう一つとしては「(食品表示法の条文では)指示、措置命令、回収命令等が、機能性表示食品に適用できるかどうか、不明確である」(同)ことを指摘。機能性表示食品に対しても「指示等ができる旨を明示すべき」(同)であると主張している。
 同委員会によると、この改正の要望について「現時点(10月6日17時現在)では、消費者庁から何ら連絡はない」(事務局)としている。
 この件に関して消費者庁からコメントを得ることはできなかった。
 機能性表示食品制度の開始から約半年が経過したが、消費者団体との攻防戦はまだまだ続きそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ