【米国ECの今】最終回 〈ブロガーマーケティング〉/業界全般に対する影響力活用して施策展開

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メリッサ・デイビス氏

メリッサ・デイビス氏

 このコラムでは、米国進出を考える企業向けに米国のEC市場についてお伝えします。最終回は、米国にてファッションやビューティーの分野で活躍するブロガーとの、連携やマーケティング施策について紹介します。
 近年、米国ではブロガーの勢いが増しています。日本では、タレントのブログサイトに加え、アメブロやファッション雑誌などに登場する読者モデルの活躍が目立ちます。一方の米国では、業界に深く精通したファッションブロガーやビューティーブロガーの人気が高く、ファンにはもちろんのこと、業界全般に対して影響力を持っています。
 この影響力に注目して、各ECサイトは商品をエンドース(ブロガーにお墨付きで紹介)してもらったり、商品そのものをプロデュースしてもらったりして、ブロガーをマーケティング施策に活用しています。
 米国のブロガーの特徴は以下の4点です。
 (1)ブログの内容が一つのカテゴリーに特化されている。ファッションであればファッション関連の記事以外の記載はほとんどない。また、独自のパーソナルスタイルを主張していてトーンが統一されている。
 (2)ブログそれぞれが一つのメディアとして確立している。ブログのタイトルがよく知られていて、記事内容にこだわることはもちろんのこと、広告の配分や見せ方を工夫している。また、多くのブロガーは、アフィリエイトを利用してブログをマネタイズしている。
 (3)トップブロガーの多くは年齢も若く、20代が多い。また、米国内に限らず海外でも人気が高く、頻繁に海外コレクションの取材を依頼される。
 (4)トップブロガーは、ブログやコンテンツ制作を手伝う担当者を雇っていて、写真撮影からスケジュール管理までチームで行っている。
 なお、「SyopStyle(ショップスタイル)」では、ブロガーを活用したマーケティング施策として、ブロガー向けのアフィリエイトプログラム「ShopSense(ショップセンス)」を展開しており、ショップスタイルで掲載するショップやブランドと、ブロガーのファンをつなげるサポートに取り組んでいます。
 それでは、米国に進出する日本企業は、連携できるブロガーをどのように見つけたらいいのでしょうか。
 まず、ブロガーのブログ、ソーシャルメディアのアカウント、およびファンのコメントを細かく読み込み、自社の商品やブランドと合致するブロガーを探し出すことです。
 その上で、個々にエンドーサーになってもらえるよう依頼することをお勧めします。時間はかかりますが、ブロガーと長期的に良い関係を築くには欠かせない効果的な方法です。(おわり)


〈プロフィール〉
メリッサ・デイビス氏
 IBMでECコンサルタントとして従事した後、ファッション検索サイト「ShopStyle」を運営するPopSugar社に入社。現在は米国、日本の他に英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダの計7カ国で「ShopStyle」を統括している。日本語版のURLはhttp://www.shopstyle.co.jp/

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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