【EC売り方研究所】FinTech決済サービス研究 /手数料の安さ、導入の簡単さが魅力

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ECサイトの決済機能として「ウェブペイ」や「スパイク」など、「FinTech(フィンテック)」と呼ばれるオンライン決済サービスが急速に広がっている。決済手数料の安さや、導入作業が簡単であることなどが人気の一因だ。海外のサービスが国内に参入し始めたほか、国内ベンチャーもサービスを開始。「フィンテック」の決済サービスを利用するメリットを探る。

「フィンテック」とは「Finance(ファイナンス=金融)」と「Technology(テクノロジー=技術)」を掛け合わせた造語。IT技術を活用した革新的な金融サービスを指す。
 オンライン決済の分野では「ペイパル」が先駆者だ。国内では8月28日に株式上場を控えるメタップスが提供する「スパイク」、LINE(ライン)グループのウェブペイが提供する「ウェブペイ」などがある。
 「フィンテック」業界で注目を集めている米国のサービス「stripe(ストライプ)」は今年5月に日本でベータ版のサービスを開始。無料のECサイト構築システム「BASE(ベイス)」を提供しているベイスも、オンライン決済サービス「PAYJP(ペイドットジェーピー)」の提供を予定している。
 これらのサービスは「VISA(ビザ)」や「Master(マスター)」など複数の国際カードブランドに対応している。

スパイクは手数料無料

 「フィンテック」の決済サービスの特徴の一つは利用料が安いこと。導入費用や月額利用料は無料の場合が多い。決済手数料は決済額の3%前後で、決済ごとに10~40円程度の手数料が発生するのが一般的だ。
 「スパイク」は月間決済額100万円まで手数料は無料のプランを提供。契約アカウントはサービス開始から8カ月で5万件を突破している。
 一般的なクレジットカード決済機能をECサイトに導入する場合、初期費用や月額が発生することが多い。手数料の安さも含め、「フィンテック」の決済サービスは費用面でメリットが大きい。

数行のコードで導入

 導入作業が簡単であることも「フィンテック」の決済サービスの特徴だ。「スパイク」「ストライプ」「ペイドットジェーピー」などは、数行のコードをECサイトに埋め込むだけで利用できる。
 「フィンテック」の決済サービスをECサイトに導入する場合、自らコードを書く必要があるため、以前はエンジニアが利用する場合が多かった。
 しかし、数分で簡単に導入できるサービスが増えてきたことで、ネットショップはもちろん、個人事業主がブログなどに導入するケースも目立つ。
 ECの裾野が広がり、オンライン決済が一般的になる中、誰もが簡単にオンラインで売り買いできる環境が整いつつある。
 情報セキュリティー対策の観点から「フィンテック」の決済サービスを利用することもできる。例えば、「ウェブペイ」は決済に使用したクレジットカード番号を加盟店のサーバーに送らない。クレジットカード情報を決済システムに送信する際はカード情報を暗号化している。

買い物も便利に

 「ペイパル」のアカウントを持つ消費者が、「ペイパル」を導入しているネットショップで決済する場合、メールアドレスとパスワードの入力だけで決済を行うことができる。
 決済時にクレジットカード情報や配送先住所などを入力する必要がないためカゴ落ち率の抑制に役立つ。ECサイトに「アマゾンログイン&ペイメント」などを導入した場合と同様の効果が生まれることになる。
 ECサイトごとにカード番号や個人情報などを入力する手間を省く「フィンテック」が増えれば、EC事業者にとって便利な決済サービスであるだけでなく消費者の利便性も高まることになる。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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