【EC売り方研究所】〈おせちのネット通販〉/早期予約、内容の多様化が進む

「オイシックス」のおせち

 おせちのネット通販市場が拡大している。食品通販サイト「ぐるなび食市場」では、5年前に比べて売り上げが2倍になっており、今シーズンもさらに成長すると見込んでいる。ネットでおせちを購入する消費者が増加しているのに伴い、おせちEC市場に新規参入する事業者も広がり、競争は激しさを増している。早めに注文を獲得し、生産数を確定するために、8月頃から予約を開始する店舗もある。定番おせちに加え、洋風、中華、和洋折衷のおせちも販売数を伸ばしている。

年間のリピーター獲得へ

 おせちの早期予約を早くから開始した各社からは、前年よりも滑り出しは好調という声が聞かれる。
 「オイシックス」は10月末時点でおせち売り上げが前年同時期の37%増で推移。「高島屋」のおせちネット通販も約10%増で推移している。
 ネットのおせちは3~4人前に需要のボリュームゾーンがあり、一番の売れ筋商品となっている店舗は多い。しかし、出前サービスを行う「和菜毬乃」では昨シーズンから、「おひとりさま おせちセット」(=写真上)が売れ筋商品となっている。おせちだけを食べる家庭が減っていることや、家族全員が一度にそろう時間がないことが人気の背景にはある。
 一方、「匠の料亭おせち」は一般的なおせちより1・5倍大きい重箱に詰めた5~6人前のおせちが人気。各社ともターゲットとする顧客に合わせた商品展開と販促に取り組んでいる。
 おせちで年間のリピーターにつなげる施策や、ブランディングを意識した取り組みも目立ち始めている。
 「東京正直屋」は母の日などの贈答品に、一口サイズのお寿司「はなてまり」が年々人気を高めている。
 今シーズンは、初めておせちと「はなてまり」のセット(=写真真ん中)を販売し、ギフトの顧客の目をおせちにも向けさせる考えだ。


マルチチャネル販促は有効

 食品偽装問題などのニュースが話題となった今年は、「安心・安全」への消費者の目が特に厳しくなりそうだ。
 「ネットで購入する際は特に原材料や産地表示が明確で、合成着色料や保存料を使用していないことなどが、おせち選びの基準の一つになっている」(オイシックス・広報室)と話している。
 高島屋で一番人気の「『錦』3段重」(=写真下)は、合成着色料・甘味料が不使用。「6年連続で高島屋通販カタログのナンバーワン人気おせちのため、初めて購入する方でも安心感がある」(高島屋・クロスメディア事業部)ことを訴求点にしている。
 ネットだけでなく、新聞広告なども利用したマルチチャネルで販促を行う店舗も表れている。
 おせち通販を支援し、業界動向に詳しいネットショップ総研では「購買層の広がりを踏まえると、一つのチャネルに絞るよりも多くの入り口を作る方がいい」(長山衛社長)と話す。
 ネット以外の販促も含めた企業間の競争はますます強まりそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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