【ネットショップのための薬事広告のイロハ】連載69 機能性表示のポイントを教えて

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4月1日に解禁となった”機能性表示”のポイントを教えてください。(健康食品通販会社担当者)

美白、シワ消し、増毛、豊胸は不可〈機能性表示のポイント 後編〉

 前回は、機能性表示の対象/対象外およびその対象者について解説しました。今回は表現範囲について取り上げます。
 安全性と機能性の評価を前提に、表現が認められているのは、次の通り。
 (1)容易に測定可能な体調の指標の維持に適するまたは改善に役立つ旨
 (2)身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適するまたは改善に役立つ旨
 (3)身体の状態を本人が自覚でき、一時的な体調の変化(継続的、慢性的でないもの)の改善に役立つ旨
 反対に認められないものは次の通りです。
 (1)疾病の治療効果または予防効果を暗示する表現
 (2)健康の維持および増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標ぼうするものと認められる表現
 (3)科学的根拠に基づき説明されていない機能性に関する表現
 これだけではなかなか分かりにくいこともあり、ガイドライン内で注釈が付記されていますが、それらをまとめるとポイントとしては、次の通りとなるでしょう。
 ・骨、関節、筋肉など身体の特定の部位に言及した表現は可能
 ・特定保健用食品で認められている範囲内の表現(ただし、疾病リスク低減表示は除く)は可能
 ・あくまでも健康維持増進の範囲と捉えられるものであり、疾病の治療や予防、そして肉体改造に繋がるものは不可。例えば、美白やシワ消し、増毛、豊胸等通常の状態より良く、魅力的に見せるということに繋がるのであれば、それは健康維持増進の範囲を越えていると判断される
 ・機能性が評価されていない表現は不可
 なお、「体重減少」という文言を直接的に機能性表示に織り込むことについては、本当に正確な指標が得られるのか(医学的および栄養学的な観点から十分に評価を得られるものなのか)が疑問であり、難しいと言わざるを得ないのではないかと考えます。
 現に、特定保健用食品では「体脂肪を減らす(のを助ける)」はありますが、体重そのものの減少についてうたっているものはありません。
 公開された「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」はページ数として111ページというボリュームがあるものですが、”表示が可能な機能性表示の範囲”にまつわることについてはわずかP4~P5の1ページにも満たないものとなっています。
 たったこれだけ? と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、これは自己認証(企業の責任)で制度設計されていることの表れであり、可否事例を挙げてしまうことにより、企業側の創意が削がれることを予測しての結果です。
 消費者庁からは「逆にエビデンスがあるのであれば、きちんと自信を持って書いてほしい」というメッセージが伝えられていますので(※)、ぜひ前向きに捉え、より魅力的な表現を構築していきましょう。(随時掲載)

 ※平成27年1月14日「第28回健康・医療ワーキング・グループ」での発言

〈稲留万希子氏 プロフィール〉
 東京生まれ。東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社に就職。在職中に出かけたアジア旅行で各地に根付いている東洋医学に興味を抱き、国際中医専門員、薬事法管理者の資格を取得して独立。数々のサイトをチェックしてきた経験を基に現在は、”ルールを正しく理解し、味方につけることで売り上げにつなげるアドバイス”をモットーとした「薬事法広告研究所」サービスを展開中。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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