【EC売り方研究所】〈お中元商戦対策〉/形式ばらず商材、売り方が多様化

矢野経済研究所の調査によると、お中元市場は約6兆円で、ここ数年は横ばいで推移している。ただ、ネットでお中元を購入する消費者は増えており、注文方法には変化があるようだ。自社サイトでは紙のDMでもお中元商品を告知したり、モール出店者はセールのタイミングでお中元向けのメルマガを送るなど、さまざまな工夫が見られる。洗剤、ハム、ビールなどの定番品に限らず、人気商品も幅広くなっている傾向にある。

一人一人に合った中元を

 お中元の商材が多様化しているのは、友人や知人にちょっとしたギフトを贈る「カジュアルギフト」の市場が拡大していることが背景にある。
 さらに、「購入方法としても形式や慣習に捉われず、幅広い品ぞろえから相手に合ったギフトを楽しく選べる」(楽天)ことが、ネット通販の利用が伸長している要因のようだ。
 複数の相手に一括で同じお中元商品を贈るより、一人一人に合った商品を選んで贈りたいと考える消費者が増えていると各社は分析している。
 DeNAショッピングは昨シーズン、お中元の流通額が前期比12%増となった。今年は同25%増を目指している。
 ネットでは、母の日や父の日に「名入れ」の商品が人気を集める。名入れ商品を販売する店舗の中には「母の日、父の日、お中元と、商戦をまたいだリピート戦略を実現した店舗もあった」(ディー・エヌ・エー)という。
 ディー・エヌ・エーは「CVR(コンバージョン率)を担保するため定番商材は用意しつつ、より多くのお客さまに見ていただけるような、面白い商材や流行のお中元を前面に押し出して商戦全体を盛り上げたい」(同)としている。
 ぐるなび食市場は昨シーズン、高級ハンバーグ、フルーツ、焼肉セットなどが人気だった。お中元でも形式ばるのではなく、夏ギフトとして販促し、「自分買い」の提案を行う店舗もあったという。
 飲食店情報サイトを運営する強みから、「全国の飲食店の味をギフトで届ける企画を押し出したい。和洋中、スイーツの人気店など、商品ラインアップを広げている」(ぐるなび)としている。


物流ニーズにも応える

 EC各社は、販促、商品開発、配送においても工夫を凝らしている。
 食文化(本社東京都)は昨シーズン、お中元の売上高が前年の約1・5倍に拡大した。一番人気は「春日居の桃」=写真。「フルーツかご盛り」も売り上げを伸ばした。
 販売商品を単品からかご盛りにシフトさせたことで単価が向上。販促ではモールのセール時期など売り上げの上がりやすい時期に合わせてメルマガを配信して顧客の注目を集めた。
 商材の幅が広がる中、定番のビールを販売する事業者の中には、シーズン期間中から自社で在庫を持つことにより入荷までのリードタイムを省き、配送スピードを短くしたケースもあった。
 おせち、バレンタインデー、母の日などについて、シーズン終了直前に購入する消費者に対応したイベントも目立った。スピード配送に対する消費者の要望の高まりに応えた企画ともいえる。
 日用品を販売する中央物販(本社東京都)はECサイト「e―NOVATIVE(イノベーティブ)」で洗剤のセットを販売。今シーズンは前年比10%増を目指している。
 商品ページ内でさまざまな包装紙や水引などを紹介。ギフト商品がお中元以外のギフトにも対応できることを認知してもらうようにして、ほかのギフト用途の利用も促している。
 DMや新聞広告などのオフラインツールで告知し、ネットに誘導する売り方も珍しくない。
 水産物販売の丸徳海苔(本社広島県)は、集客に新聞広告を活用している。ごま油販売の山田製油(本社京都府)はDMで既存顧客に告知した。
 らでぃっしゅぼーや(本社東京都)はカタログを配布して告知しており、今シーズンは5月18日から配布する。
 お中元の販促開始時期は、母の日が終わった5月から6月上旬に集中する。モールでも6~8月に特集ページが掲載されるようだ。
 今シーズンもさまざまな商材や販促手法が出現しそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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