【ネットショップのための薬事広告のイロハ】連載92 雑貨広告の表現について(前編)

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”化粧品の効能の範囲ならば言及可能”

 雑貨の広告表現について、標ぼう可能な範囲とその考え方を教えてください。   (雑貨通販会社担当者)

 
 内容が広範にわたりますので、このご質問には前後編の2回に分けて回答することにしましょう。
 雑貨というカテゴリは広く、美顔器、EMSと言われる筋肉運動補助器具、サポーター類等、さまざまなものが含まれます。
 もちろんこれらの商品においても、薬機法を意識する必要があります。雑貨は医療機器ではありませんので、医療機器としての定義に触れるような広告表現をしてしまうと、無承認無許可医療機器とみなされてしまいますので、NGということになります。
 ではそもそも「医療機器」とは何を指すのでしょうか。
 薬機法において、医療機器は、〈【薬機法 第2条第4項(抜粋)】この法律で「医療機器」とは、人もしくは動物の疾病の診断、治療もしくは予防に使用されること、または人もしくは動物の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であって、政令で定めるものをいう〉
と定義されています。
 ですから、(1)人間か動物に用いられるものに限られる(2)疾病の診断・治療・予防に使用されることが目的とされている機械器具等(3)身体の構造・機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等ーーーという目的を持つもので、薬機法施行令で定める分類表に該当するものは、医療機器となるため、雑貨としての取り扱いはできません。
医療機器の例:
(2)に該当するもの
 …MRI、レーザー治療機器、聴診器、体温計、血圧計、救急絆創膏 等
(3)に該当するもの
 …コンタクトレンズ、マッサージ機器、ペースメーカー、低周波治療器 等
 ですので、例えば、美顔器で「シワ・ニキビが治る」という表現をしたり、EMSで「おなかのぜい肉を徹底燃焼!」というような表現をしたりすることは上記の通り、「身体の構造、機能に影響を及ぼすことを目的とするもの」ということになりますので、雑貨である以上、標ぼうは不可ということになります。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月22日号で)



稲留万希子氏 プロフィール:
 東京生まれ。東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社に就職。在職中に出かけたアジア旅行で各地に根付いている東洋医学に興味を抱き、国際中医専門員、薬事法管理者の資格を取得して独立。数々のサイトをチェックしてきた経験を基に現在は、〝ルールを正しく理解し、味方につけることで売り上げにつなげるアドバイス〟をモットーとした「薬事法広告研究所」サービスを展開中。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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