【越境ECの最新レポート《前編》】中国2大モールへの複数出店が主流に

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■JDへの出店が増加

 国内の大手メーカーを中心に、中国の2大越境ECモールである「天猫国際(Tモールグローバル)」と「JDWorldwide(ジェーディーワールドワイド)」の双方に出店する動きが顕著になってきました。日本で例えるなら楽天とアマゾンの両方に出店するような動きです。
 1年ほど前は中国BtoC EC市場で約60%というトップシェアを握るアリババ運営の「天猫国際」に先行して出店する企業が多くありました。ただ、最近はシェア2位の京東集団もECモールの年間流通総額が8兆円を超え、前年比140%超と高い成長率を維持していることもあり、同社の越境ECモール「JDWorldwide」に出店する動きが目立ってきました。
 両社とも中国のEC市場では大きなシェアを持っていますが、日本からの越境ECとなるとまだ市場規模は伸ばしきれていないのが実情です。主な理由としては、越境ならではの送料の高さや法制度の不安定さが挙げられると思います。
 中国向け越境ECを行う企業の多くがいまだに、消費者が関税を支払わなくて済む確率が高い「個人輸入扱い」の国際スピード郵便(EMS)を使っています。
 荷物1個当たりの送料1500円ほどを購入者に負担させるケースもありますが、多くの場合は送料無料にして企業側が負担しています。そのため、商品が大量に売れると企業の送料負担が増えてしまうといった課題があります。
 中国の大手ECモールは3月、中国消費者動向に配慮し、突然、日本製の食品を販売停止にしました。このような日本では想定できないような動きが突然生じることも事実です。
(続きは、「日本ネット経済新聞」5月18日号で)




*執筆者 略歴*
株式会社いつも.事業推進部兼グローバルEC担当
立川 哲夫(たつかわ・てつお)
 東証1部上場の経営コンサルティング会社にて、事業再生や新規事業戦略案件に携わった後、株式会社いつも.にて、大手・中堅企業のEC事業参入のコンサルティング支援を行う。最近は、米国や中国視察を行いながら、グローバルEC戦略立案と中国モール向け越境EC参入サポートを行っている。
http://itsumo365.co.jp

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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