【インタビューエニグモ 須田将啓社長/アパレルCtoCで海外に挑む

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須田将啓社長

須田将啓社長

アパレルの個人輸入サイト「BUYMA(バイマ)」を運営しているエニグモは15年末までに、英語版の「バイマ」を開設する。既存事業のインフラや出品者のネットワークを生かし、英語でアパレルCCのプラットフォーム事業を行う。海外事業の戦略について須田将啓社長に聞いた。

個人が英語圏に販売
-海外事業についてうかがう前に、日本語で展開している「バイマ」のサービスの概要とビジネスモデルについて、あらためて教えてください。
 「『バイマ』は、世界中で販売されている海外ブランドの服やバッグなどを、国内の消費者が手軽に買えるショッピングサイトです。現在の取り扱いブランドは約6000種類で年間の出品数は約300万点。『パーソナルショッパー』と呼ばれる海外在住の出品者が、現地で売られている商品を販売しています。『パーソナルショッパー』は、ほぼ全員が日本人で、世界115カ国に約6万5000人います」
 「『バイマ』の15年1月期の取扱高は206億円、アクティブ会員数(過去1年間に購入した顧客数)は51万4989人でした。購入者が支払った代金を当社がいったん預かり、商品が到着したことを確認した上で出品者に入金します。取扱高の約10%が当社の手数料収入になります」 
 
-英語版の「バイマ」は、どのようなサービスなのでしょうか。
 「英語版の『バイマ』の基本的なサービスや売買の仕組みは日本語版と同じです。日本語の『バイマ』は日本人が海外の商品を購入するためのサイトでした。英語版は、日本人を含む世界中の個人が、英語圏の消費者に商品を販売するプラットフォームです」

-英語版のシステムは既存のインフラをベースに開発しているのですか。
 「そうです。日本語版のシステムを使うことで開発コストを抑えました。英語版の開発を手掛けているのは既存のエンジニアで、新たに採用したのは英語でカスタマーサービスを行うスタッフと海外のマーケティングを行うスタッフの数人です。先行投資はそれほど多くないため、英語版の事業の単月黒字は比較的早いと思います」

日本品質が強み

-「バイマ」のサービスは海外の消費者からも受け入れられるでしょうか。
 「自信はあります。まず、『バイマ』の強みの一つは品ぞろえです。これだけ多くの商品を取りそろえているアパレルのショッピングサイトは世界でも聞いたことがありません。地域限定品や、店舗でしか取り扱っていない商品も『バイマ』なら買うことができる。世界中の商品を買いたいというファッション感度の高い消費者は海外にも必ずいるはずです」
 「サービスレベルの高さや、個人間取引における安心感を提供できることも強みです。『パーソナルショッパー』は、品質に厳しい日本の消費者に鍛えられているため、検品や顧客対応など細かい気遣いのレベルが非常に高い。さらに当社は偽物などへの補償制度、返品サービス、トラブルが発生した際のカスタマーサポートなども行っています。こうした日本クオリティーを維持したサービスを英語版でも提供します。サイトの表記や管理画面を英語にするだけなら簡単ですが、補償や高いレベルの顧客対応を英語で実現するのは非常に難しい。それを実現できる『バイマ』は、海外の消費者からも受け入れられると確信しています」

-海外の消費者に「バイマ」を知ってもらうための取り組みも必要です。
 「『バイマ』の特徴として検索エンジン対策に強いことがあります。例えば、『シャネル』など有名ブランドを検索すると、検索結果の1ページ目、公式サイトのすぐ下くらいに『バイマ』のショッピングページが表示されます。これは社内のSEOチームの努力の成果もありますが、『バイマ』はサイトの構造上、検索エンジンに非常に強いためです。日本語版の『バイマ』における検索表示アルゴリズムのアドバンテージは英語でも発揮できますから、英語版の『バイマ』は最初からある程度の集客が見込めます」

(続きは日本ネット経済新聞 8月6日・8月13日の合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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