【インタビュー】〈利益全額を「ミンネ」に投資〉GMOペパボ 佐藤健太郎社長/ハンドメードECでトップシェアを取る

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佐藤健太郎社長

佐藤健太郎社長

GMOペパボが手作り品に特化したECプラットフォーム事業を強化している。今期(15年12月期)は営業利益の全額を、ハンドメードECのプラットフォーム「minne(ミンネ)」のプロモーションや機能開発に投資する計画だ。2月からテレビCMを放送しているほか、5月にはサービスの認知向上を目的としたリアルイベントにも着手。アプリのダウンロード(DL)数や作家の登録数で業界トップを走る「ミンネ」の成長を加速させている。ハンドメードEC事業を強化している狙いと今後の事業戦略について佐藤健太郎社長に聞いた。

アプリは年内に500万DL計画

 ─今期は「ミンネ」の広告宣伝費として15年1―3月期(第1四半期)だけで約3億円を投じたほか、ハンドメードECモール事業で業界3位とみられるOCアイランド(本社東京都)を約1億円で買収するなど、攻めの姿勢が際立っています。ハンドメードEC事業を強化している狙いを教えてください。
 「ハンドメード作品の個人間売買に特化したプラットフォームは有望な事業だと判断しました。ハンドメード作品のCtoC市場は急速に伸びています。手工芸などに使われる材料の市場規模は国内で約8000億円と推定されており、市場のポテンシャルは大きい。ネットを使ったCtoCの商習慣も広がり始めています」
 「ハンドメード作品の売買はこれまで、百貨店の催事やバザーなどリアルの場に限られていました。オークションサイトなどでは素材の質感や作品に対する作家のこだわりを十分に伝えることが難しいため、利用する作家は少なかったのが実態です。ハンドメード作品の売買に最適化したプラットフォームを提供することで、作家と消費者が集まる経済圏をネット上に作りたいと思っています」
 ─15年1―3月における「ミンネ」の流通額は前年同期比約3・5倍の6億1200万円でした。流通額は今後、どの程度まで拡大すると予想していますか。
 「今期の具体的な数字に言及するのは難しいですが、年間流通額を早期に100億円まで増やしたいと思っています」
 ─「ミンネ」の作家の登録数とアプリのDL数は。
 「6月1日時点で作家の登録数は11万人以上、アプリは200万DLを超えました。今年中に作家数20万人、アプリは500万DLを目指します」
 ─ハンドメード作品の売り手は、潜在的にどの程度いると見込んでいますか。
 「ハンドメードや手工芸の国内人口は2000万人といわれています。今後、ネットで作品を販売する商習慣をいかに浸透させていくかが課題です」


作家と作品が集うアトリエを常設

 ─作品をネットで販売する文化を根付かせるために必要なことは。
 「ハンドメードのCtoC市場を成長させるための課題は二つあると思っています。一つ目は商品の購入者を増やすこと。これにはマスマーケティングが有効ですから、今年2月以降、女優の水川あさみさんを起用したテレビCMを放映しています。女優を起用した理由は、ハンドメード作品に対する消費者のイメージを高め、『ミンネ』をブランド化したかったからです。アプリのDL数は期初から半年間で2倍以上に増えるなど成果を上げました」
 「二つ目の課題は作家の登録数を増やすことです。これはマスマーケティングだけでは難しい。作品をネットで売ることのメリットについて、ある程度時間をかけて啓発していく必要があります。ウェブ広告などで継続的に作家を募集しながら、作家の発掘や育成を目的としたハンドメード作品のコンテストや、実店舗でのワークショップなどリアルのイベントを実施しています。今年5月には、作品を展示したり作家が集まったりできる場所として、東京・世田谷区に常設のアトリエを開設しました。期間限定のリアル店舗を東急ハンズ梅田店などに出店する試みも始めました。さまざまな取り組みを通じて、ハンドメード市場を盛り上げていくことが作家の登録数を増やすことにつながると思います」

(続きは日本ネット経済新聞 6月25日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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