【インタビュー】イオンリテール デジタル推進チーム総務・管理グループ 備仲日出男マネージャー/スマホ向け利便性向上で受注数1.5倍拡大へ

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備仲日出男マネージャー

備仲日出男マネージャー

イオンのネットスーパー事業を運営するイオンリテール(本社千葉県、岡崎双一社長)の15年2月期におけるネットスーパー売り上げは前期比20%増となった(売上高は非公表)。今期は、スマートフォン向けに利便性を向上させ、スマホからの注文を1・5倍に拡大する計画だ。デジタル推進チーム総務・管理グループの備仲日出男マネージャーに今後の計画などについて聞いた。

カンパニーごとにサービス強化

 ─14年3月にイオンリテール内に、オムニチャネル推進本部を設置しました。狙いは。
 デジタルマーケティング、デジタルサイネージ、ネットスーパー、イオンショップ、タブレットで店頭注文ができる「タッチゲット」の5つのサービスに取り組んできました。そのほか、宅配ロッカーや移動販売車にも取り組んできました。
 イオングループでは機構改革の一環として、今期からさまざまな権限を事業会社(カンパニー)などに移しています。それぞれのカンパニーごとにオムニチャネルに向けたサービスを強化するのが狙いです。
 ─15年2月期に取り組んできたことは。
 まずは、収益構造の改革です。ネットスーパーは収益が上がりにくい事業です。粗利の低さが課題になっていました。スーパーの店頭に並んでいる商品は、それほど粗利が高くありません。粗利が取れる商品を見極め、経費の使い方も見直しました。
 経費は、配送コストが課題となります。当社は外部の配送業者に委託しており、各業者との交渉を行いました。
 さらに、ユーザーに対する利便性の向上にも取り組みました。この部分は、昨年は準備段階でしたが、今年から目に見える形で本格的な展開を始めていきます。
 ─ネットスーパーのオペレーションはどのような形態で行っているのですか。
 ネットスーパーの形態は(1)店舗でスタッフがピックアップした商品を、顧客ごとに袋詰めする形態(2)バックヤードに一定数の商品をまとめて袋詰めする形態─の2種類があります。店舗ごとに、注文件数によって形態が分かれていますが、全体的には、店舗で個別にピックアップする方式が多い。(2)は、バックヤードに十分な広さがある場合に有効で、現場ではハンディターミナルが活用されています。
 ─既存会員に対する施策は。
 新規会員の獲得はもちろん重要ですが、1回使ったユーザーに何度もリピートしてもらうための施策も重要です。都心部で競合が激しくなっている中、お客さまのニーズに応えられるような品揃えをしたうえで、既存会員の稼働率をいかに上げていくかが重要になるだろうと考えています。
 ─ユーザビリティの改善については、どんなことに取り組んでいるのですか。
 注文件数が伸びているスマートフォンへの対応です。2月から、スマホ専用画面を開設し、商品を検索しやすくしました。スマホユーザーは、ネットスーパーで購入したい商品がすでに決まっていることが多い。検索にいかにヒットするかが購買につなげるための重要な要素になります。
 ─宅配ロッカーにも取り組んでいます。
 1年間、さまざまな検証を行ってきました。他社のネットで購入した商品も受け取れるようなオープンな形態が求められていることが分かりました。ネットスーパーの受け取り専用ロッカーとしていくと稼働率が低くなってしまいます。
 現在、設置は1店舗に縮小していますが、お客さまのニーズを把握することができたので、今後の取り組みに生かしていきます。
 ─ネットで注文した商品を、店頭で受け取れる動きが広がっています。
 欧米で一般化していると聞いていますが、国内ではそれほどニーズがあるとは思えません。日本人は生鮮品にこだわりを持っているということも背景にあると思います。駅に近い店舗で、働いている人が帰宅前にスマホなどで注文し、帰りに受け取るという形を想定しています。当社では、一部店舗で実施しています。今後のニーズ次第で、本格展開を検討していきます。

(続きは日本ネット経済新聞 5月28日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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