《特別インタビュー》KDDIコマースフォワード 八津川博史 代表取締役社長×桑田祐二 代表取締役副社長/グループの総力挙げて流通総額と質を向上

 KDDIコマースフォワード(本社東京都、八津川博史社長)は3月14日に都内で開催した「Wowma!(ワウマ)」の出店者向けフォーラムで、20年3月期に流通総額1500億円を目指す事業計画を発表した。出店料金の改定、システム面における出品のしやすさ、最新技術を使った集客とCRMの向上施策など、18年3月期は急ピッチでよりよい売り場作りを進めていく。KDDIグループの掲げている「ライフデザイン戦略」の中核として確立すべく、グループのリソースを最大限に生かす。八津川社長と、旧「auショッピングモール」時代からモールを統括してきた桑田祐二副社長に今後の方針と戦略について聞いた。


■出品しやすいシステムに改修

 ーーー出店料金の大幅改定には多くの出店者がメリットを感じている。

 八津川社長(以下、八津川) 19年度に流通総額1500億円の達成に向けて、一番大事なことは店舗と商品のバリエーションとラインアップだと捉えている。当社のカスタマーサービスで常に取り続けているお客さまアンケートでも、最もネガティブインパクトが高い事項は商品がないことだった。商品数や店舗数は他モールより桁が足りないと思っている。カテゴリーごとにしっかり店舗数と商品ラインアップをそろえていくことが「ワウマ」のスタートラインだ。足元から一気に拡大を図っていけるよう、料金プランを改定した。今までは売り場の規模に比べて出店料金が比較的割高だったと思う。

 ーーー新しい出店プランの根拠は。

 八津川 まずは間口を拡大するため、初年度は入会費と月会費を無料にしたが、ずっと無料にしないのは売り場の品質維持のためだ。メンテナンスされていない商品が並んでもいけないと思っている。そうとは言え、月会費の固定費で当社の収益を上げようとは思っていないので、4800円という最も廉価な設定のサービスプランにした。

 ーーー出品システムも改善していくと聞いた。

 八津川 今の時代、どれだけ効率的にお店を衣替えするか、商品の価格や在庫を調整するか、お客さまにおもてなしをしながら業務効率化を図るかーーーということが至上命題となっている。「ワウマ」はディー・エヌ・エー(DeNA)時代のオークションから始めたプラットフォームのため、例えばロットナンバーが必要であるなど、さまざまな不便さが残っていると感じている。入稿できる画像も10枚までだったほか、HTMLで素晴らしい商品ページを作っていても、「ワウマ」でソースコードごと入れようとしたときに使えないタグもあった。独自ルールとして設定していたことが多岐にわたって残っているので、第3四半期までに、店舗が「もっとやりたい!」と取り組んでもらえるようなシステムに改修していくよう、システム開発部隊も最大まで増員している。

 ーーーEC事業者は「ワウマ」を含めた多店舗展開がしやすくなる。

 八津川 まさにその通りで、EC事業者が使っているEC支援ベンダーのシステムで、より簡単に「ワウマ」でも販売できるようになる。EC支援サービス各社の「ワウマ」向けのサービスが拡大すると、一気に店舗数も増加していくと期待している。

 ーーー流通総額の拡大に向けて、自社もBtoCの直販に参入する計画は。

 八津川 「DeNAショッピング」時代に、ECでの出店が難しい事業者の代わりとして期間限定のイベントで販売したことはあるが、事業として直販に取り組んだことはなく、今後もその方針を変えるつもりはない。当社はあくまで売り場作りとお客さまに来店し続けてもらうためのサービス作りに専念していく。店舗とのパートナーシップを大事にしながら、店舗とともに発展していきたい。

■ビッグデータ分析、AI活用を推進

 ーーー今後、KDDIグループの保有する膨大なデータを「ワウマ」に生かせられるようになる。

 桑田副社長(以下、桑田) KDDIグループとなったことで、使えるデータの量は大幅に変わると思う。個人情報に抵触しない利用形態を前提として、auユーザーのデータをダイレクトに生かしていける形に変えていく。具体的には、お客さまの属性データだけでなく、普段どういうところにいるのか、どういうサイトを閲覧しているのかなど、リアルの行動も含めたデータをKDDIが蓄積している。お客さまに販売のお薦めをするときにダイレクトにデータを使える仕組みを作っていく。また、グループ会社に国内で最大規模数の媒体を抱える広告配信ネットワークを持つ広告事業会社、Supership(スーパーシップ、本社東京都)がある。auユーザー以外のお客さまのウェブベースの行動履歴も蓄積しているので、スーパーシップのリソースもフル活用し、「ワウマ」のお客さまに対してレコメンドや検索の最適化を進めていける仕組みも第3四半期以降に入れていく計画だ。

 ーーーデータの分析は。

 桑田 出店者向けのフォーラムと同じ日に、世界的にデータアナリティクス事業を展開しているアクセンチュア(本社東京都)とKDDIが合弁会社を設立すると発表した。新会社は人工知能(AI)技術を取り入れたレコメンドエンジンも開発するとしており、「ワウマ」への貢献も明言している。

 ーーーAI活用も注目されている。

 八津川 ファッションコーディネートアプリを提供するKDDI子会社のVASILY(ヴァシリー、本社東京都)との取り組みとして、「Wowma!コーデSNAP」を開始する。ウェブ上のコーディネートスナップをトップスやボトムスなどアイテムごとに解析し、出店者が許可した画像から類似した商品をお客さまにお薦めするサービスだ。こうした技術はインテリアなどほかのカテゴリーでも応用していけると考えている。

 桑田 画像認識するだけでなく、人気の高い画像を機械学習していき、最適なレコメンドができる仕組みを目指している。画像認識に限らず、「ワウマ」のレコメンド全体として「きっと好むだろう」というお薦めができ、お客さまがそれを心地よく思ってもらえるようになると格段にサービスの質が向上すると思う。
 八津川 広告メニューにもAIを含めたテクノロジーを駆使していく。単純に枠を作るのではなく、店舗が「こういうお客さまを集めたい」など細かなニーズに対応した広告メニューや、顧客アクションに基づいた広告メニューを取りそろえていく。店舗に合った広告と出店料の値下げにより、より積極的に販売に取り組んで欲しいと思っている。

 ーーー4月1日付でKDDIは組織改正を行い、「ワウマ」はライフデザイン事業本部の重要な事業になっていくと聞いた。

 桑田 先日の戦略共有会でも、グループのリソースを全部結集してコマースに対して向かっていくことを鮮明に意思表示した。組織改正はKDDIのコマースに掛ける思いが表れている。ライフデザイン事業本部はコマース、金融、エネルギーなどの事業で組織している。KDDIグループはライフデザイン戦略を打ち立てている。これは、通信以外の分野でお客さまの生活を彩るサービスの専門部隊として明確に切り出したということだ。

 八津川 KDDIグループからも、「ワウマ」はライフデザイン戦略の中核の重要な存在として本気で力を入れてもらっていることを実感している。今まさに、出店プランの改定、人員増強、システム改修など大きな挑戦が続いている。店舗に向けて骨太なサービスを毎月提供していく勢いでまい進したいと考えている。

八津川博史社長(メイン画像)と桑田祐二副社長

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