【アラタナ 山本稔 社長】宮崎で1000人の雇用を目指す/「ゾゾ」の傘下でパワーアップ

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 ECサイトの制作などネットショップ支援事業を手掛けているアラタナ(本社宮崎県、山本稔社長)は15年3月、ファッションECサイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイの傘下に入ると発表、同5月から完全子会社となった。スタートトゥデイのグループ化後も、ECサイトの構築やマーケティングなどEC支援事業を継続。併せてスタートトゥデイが手掛けてきたアパレルECの支援事業も行っている。スタートトゥデイのグループとなった背景や今後の事業構想を、昨年4月に就任した山本社長に聞いた。


【自分たちの目線を上げる】


 ーースタートトゥデイの傘下に入ったのは、どのような経緯からですか。

 アラタナは〝宮崎に1000人の雇用を作ろう〟ということからスタートしています。それを実現するための一つの手段としてIPОを目指していました。スタートトゥデイはEC業界でもファッションに関してはモンスターみたいな存在です。しかも千葉に本社があり、かなり特徴のある会社だと思っていて、僕らからしてみれば大先輩というイメージを持っていました。そのようなグループの中で一緒に仕事をする方が、自分たちの目線を上げることができるし、宮崎で他の会社のことも知らずに事業をするよりもアグレッシブに仕事ができると判断しました。宮崎で1000人の雇用を作るという僕らのビジョンに対しても共感し、応援してくれた。もしスタートトゥデイでなければ、そういうジャッジはしなかったと思います。


 ーースタートトゥデイの傘下に入っても、ネットショップを作るというEC支援事業の位置付けは変わりませんか。

 もちろんです。一時、事業を多角化した時期がありましたが、選択と集中を行い、現状はECサイトを作る「カゴラボ」と、サイト構築後のEC事業を支援するマーケティング、スタートトゥデイが手掛けていたアパレルのECを支援するBB事業がメーンとなります。


 ーーBtoB事業とは。

 スタートトゥデイコンサルティングという会社があって、ユナイテッドアローズさまなど大手アパレルのEC支援を行っていました。アラタナがその自社EC事業を引き継いでいます。アラタナにはエンジニアが多いしBtoBの知識もある。ECサイトも作れるので、引き継げる能力があります。
 ーーすでにBtoB事業は手掛けているのですか。
 現状まさに手掛けているところで、「カゴラボ」の開発人員をBBに振っています。売上高の内訳は前期、「カゴラボ」とマーケティングが5対5で、投資はすべてBBに充てているという感じです。ただ、2~3年後にはマーケティングが5で、「カゴラボ」とBBが各2.5くらいになるとみています。
グループ会社としての役割


 ーー今期における各事業の構想についてうかがいます。まず「カゴラボ」はどのようにみていますか。

 正直なところ耐えどきという感じです。人員をBBに振っているだけに、何とか現状の規模をキープしたいと考えています。最小の力で最大の付加価値を提供する感じでしょうか。


 ーー「カゴラボ」の強みや特徴は。

 商品点数が多いECサイト、いわゆるロングテール型のECサイト構築が得意です。SEOが比較的得意だからです。「カゴラボ」を選んでいただける理由はカスタマイズができるということです。ASP型だと無理だし、スクラッチやパッケージでは高いという、その間が得意の領域です。


 ーーマーケティングは領域が広いですが、アラタナが手掛けているマーケティングとは。

 EC事業者が売れるためのお手伝いをしており、基本的には広告とSEOです。SEOといってもコンテンツマーケティングです。僕らはカテゴリーを強化していく概念で手掛けています。組み合わせワードでブランド名とアイテムで検索する場合、カテゴリーページがヒットすると思いますが、そこでちゃんとコンテンツを作っていく。在宅も含め宮崎にライターが100人くらいいるので、教育して記事を書けるようにし、ライターのランキングもつけています。ECに参入する企業が増えてきてCPAがすごく上がっていますが、CRMによって商品を分析し、リピートにつながっている商品を調べていって、そこにきちんと広告をあてて引き上げていくとか、そういったテクニカルなことができないと、やっていけなくなるというのは当たり前の流れだと思います。売るべき商品をちゃんとみつけて、それを売っていくとか、あとはCRMも含めて、1回買ってもらった人にリピートしてもらうか、コンバージョンレートをいかに高めるか、自分たちにフィットしたものを開発していきたいと考えています。


(続きは、「日本流通産業新聞」8月25日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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