【及川冷蔵 及川廣章社長】東日本大震災から復興「天日干し商品」好調/第二の創業と位置付けEC強化

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おいかわ・ひろあき氏

おいかわ・ひろあき氏

岩手県大船渡市に本社を置く水産加工の及川冷蔵は、東日本大震災で自社工場2棟が倒壊し、営業の中止を余儀なくされた。その後14年に工場を再建、15年秋には楽天市場店「極上いくらの及川屋」を再開し、天日干し商品の売り上げが好調だ。再開前は05年から5年間「いくら部門ランキング」のトップ10の常連店舗だった。15年秋に本格的にネット通販を再開したことで、楽天市場での売り上げを拡大している。及川廣章社長に復興までの道のりと今後の展開について聞いた。

-楽天に出店したのはいつ頃ですか。
 00年2月になります。楽天も現在のような大きな規模ではなかったことを覚えています。当社は、楽天市場に出店する前から、カタログ通販を行っていました。楽天が主催する通販セミナーがあり、それに参加したのがきっかけになります。
 その前にも、97年ごろに大船渡市の青年部の会合に楽天が来まして、その時はECの機運もなく取引はしなかった記憶があります。その頃の魚屋さんは「ネット」というものに全く興味を示さなかったようです。当社は、カタログ通販を行っていたこともあり、今後はネットへ移行するだろうという考えでしたので楽天に出店することに決めました。
 -及川屋の経歴について教えてください。
 当社は1957年に創業しました。岩手県大船渡市内に本社を置く、水産加工会社で、冷凍・冷蔵の施設を持つ原料供給会社です。私は10代目の代表になります。鮭やサンマなどを原料にした商品の販売を行っています。最近では、水産加工品のニーズが高まっていることもあり、企業向けだけではなく、95年ごろからはカタログ通販で一般消費者向けの販売も始めました。
 -楽天市場に出店してからネット通販の売り上げはどのように推移しましたか。
 おかげさまでスタートから約10年間は売り上げが順調に伸びました。しかし、東日本大震災前の10年ごろから業績に陰りが見え始めました。当社は「いくら」を主力商品に据え、そのほかの海産物も販売してきました。
 楽天市場に出店した当時は、現在の売り上げに応じた従量課金制ではなく、出店費用のみを負担する形態でした。そのため、商品の価格設定が当時のままだったこともあり、思うように利益が確保できない状態になりました。どのように売り上げを確保しようかとちょうど悩んでいた時に、東日本大震災が発生しました。

(続きは日本ネット経済新聞 3月10日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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