イオングループがデジタル戦略を強化している。15年12月に、グループのECサイトを統合した「イオンドットコム」を開設。店頭との連動を含めたオムニチャネル化を推し進めている。カタログ通販、テレビ、ネットショッピングの「サクワ」を展開するイオンダイレクト(本社東京都)を吸収合併した、イオンリンク(本社千葉県)の代表を兼任する、ジェンク グロル氏にグループのデジタル戦略やイオンダイレクトとの合併の経緯について聞いた。
ノウハウ合わせ販売力強化へ
─イオンリンクはこれまでどのような事業を行ってきたのですか。
グループ内のEC「イオンショップ」を運営する会社として00年8月に「イオンビスティ」という会社名で設立されました。12年5月には現在の社名に変更しました。このタイミングで、グループのポータルサイト「イオンスクエア」を立ち上げました。これまで、グループ内で運営するネットスーパーやEC関連のシステム構築、ホームページ制作などを手掛けてきました。昨年から、イオンリンクは、グループのデジタル事業における中核会社に位置付けています。
─イオンダイレクトと合併した経緯について教えてください。
イオンリンクとイオンダイレクトは、ノンストアビジネスを手掛けてきたという面で共通している点がありました。イオンダイレクトは、商品調達や開発力、フルフィルメントといった通販ノウハウは強いものがあります。一方で、オンラインビジネスに関しては、弱みを抱えていました。
一方で、イオンリンクは、直接的な販売能力というものはないですが、イオングループのデジタル戦略の中核企業として15年から舵をきっています。昨年から他社で経験のある優秀な人材が毎週のように入社してきています。
イオンダイレクトが持つ、カタログ通販で培ってきたノウハウを、イオンリンクが持つデジタルノウハウと組み合わせることで販売力が強化できると考えました。
イオンリンクをグループのデジタル事業の中核として位置付け、ネットスーパーでの配送やギフトの配送などをグループで共有化することでオムニチャネルに向けた動きを活発化させることが可能です。
─イオンダイレクトのECではどのように変わっていくのですか。
イオングループが運営するECプラットフォームは共通しています。お客さまの購買行動を追求していけばさまざまな情報を得ることも可能です。イオンダイレクトのお客さまの行動分析を行い、グループ内のECサイトが販売する商品をレコメンドすることもできるようになります。
最近では優秀なデザイナーも入社しているので、新しいサイトを構築する際にも迅速な対応が可能です。
─イオングループのオムニチャネルは遅れているという指摘もありますが。
グループにおけるオンラインの売り上げ規模は全体の売り上げの1%ほどで指摘通りだと思います。グローバルでは、10%を超えている企業もあると聞いています。ただ、今回のイオンドットコムを約半年で構築できたというスピード感には成果を感じています。
以前の「イオンスクエア」では、商品が探しづらい、購入しづらいといった声もありました。「イオンドットコム」は、ユーザーの使いやすさを追求したものになっています。グループを横ぐしに通すという視点からすれば、当社がサイト構築を担うことで、迅速な対応ができるようになります。
─グループ内のオムニチャネル戦略を推進するのは外的な要因もあるのですか。
リアル店舗は何か手を打たければ運営することが難しい状況にあります。店舗事業者でも、オムニチャネルに対応していく企業が増えてきていることもあり、こうした流れも、当社がデジタルシフトしてきた理由にもなっています。
(続きは日本ネット経済新聞 2月4日号で)
【イオン デジタル事業推進リーダー兼食品安全推進(GFSI)責任者/イオンリンク 代表取締役社長 ジェンク グロル氏】/デジタル戦略を強化してオムニチャネル実現へ
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