【インタビュー】〈ニッチな商品で勝負〉シー・コネクト 嶽本泰伸社長/特定分野で複数のナンバーワンに

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嶽本泰伸社長

嶽本泰伸社長

ベンチャー企業のシー・コネクト(本社東京都、嶽本泰伸社長)は、商品を特化した2つのECサイトを運営している。「アジアナンバーワンの総合ECカンパニーを創る」という目標のもと、システム開発や物流、コールセンターなど自社運営している。嶽本社長に、自社ECサイトの強化策や今後の展望について聞いた。

インク関連で3000SKU

 ─EC事業の内容について教えてください。
 「インク革命.com」は互換インクなどプリンター関連商品を取り扱い、「nunona(ヌノナ)」は女性の布ナプキンに特化した専門店です。会社を立ち上げた当時から、EC市場には競合が多く存在していたため、特定分野を徹底的に強めたショップにするという考えのもと、専門店を運営しています。
 開設当時は商品の型番やメーカーを限定して販売していました。そこからメーカーやジャンルを拡大して、マーケティング、宣伝、資金調達などを行っています。特定分野のナンバーワンを獲得するという戦略を描いています。
 1月現在、インク関連商品は、SKUベースで3000品目を取り扱っています。プリンターは型番が変わるたびに対応するインクも変わる特徴があります。それに連動して、取り扱う品目数も増加しています。
 現在はあまり流通していないインクも販売しており、そうした商品が売れ筋に成長することもあります。メーカーが製造していても、量販店では需要がない商品も多くあります。メーカーと協力しているので、こうした商品も需要に合わせて少数生産しています。無駄な在庫を持たずに、かつ欠品とならない最適な在庫数の確保を可能としています。
 こうしたロングテールの戦略は、10年前に製造され、現在は販売していないプリンターの利用者もいるので、顧客満足度につながっています。
 当社は物流に力を入れていて、365日、21時までの注文は当日出荷して、関東と関西地域に翌日配送しています。在庫は自社で抱えています。インク切れをおこしたときに注文される顧客が多く、急いで発送する必要があるからです。
 これを実施できているのは、ロジスティックやカート、受発注など全てのシステムを内製化しているからです。どの型番がどの地域でどれくらい売れているのかをリアルタイムで分析できるので、欠品率は約0・01%という水準を保っています。
 ─インクの次の商品として、布ナプキンに目を付けた理由は。
 事業の相乗効果を考えるとインクに近い商品を選ぶのが有利ですが、当社は総合EC企業を目指しています。一見すると回り道をしているようですが、全く違う商品でも成功するという事例を作りたかったことと、商品の体積と重量に対するさまざまなコストを見極めたかったという考えがあります。
 専門店の出店とシステムの内製化は、今後、当社が複数の店舗を出店する際のプラットフォームとして活用していくつもりです。インクは40~50代の男性、布ナプキンは20~30代の女性がターゲットになります。多くの分野で成功したうえで、事業が拡大しても対応する力を蓄えています。
 ─14年には「インク革命.com」の実店舗を開店しました。
 EC業界全体でオムニチャネルがテーマとなっていることもあり、14年4月に東京・御徒町に「インク革命.com」の実店舗を開設しましたが、同年10月に撤退しました。インクという商品が、実店舗とマッチしていなかったことが理由です。
 実店舗内にパソコンを設置してECサイトを利用できたり、サイトの売れ筋商品を反映するなどの施策を行っていました。コンビニのように使ってもらいたいと思っていたのですが、インクを必要とする人はパソコン利用者なので、ECのほうが相性が良かったようです。
 経営が軌道に乗るのに2年かかるという計算になってしまい、「インクにオムニチャネルはいらない」と結論付けました。やるべきことはやったので、撤退は早いほうが良いと判断してのことです。
 ただ、この時に学んだ実店舗経営のノウハウがあります。ECサイトで新たな専門店を開設した際、その商品が実店舗と親和性が高いと判断したら、またリアルの展開も考えています。

(続きは日本ネット経済新聞 1月28日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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