【ヤッホーブルーイング 佐藤潤 「よなよなの里」店舗運営責任者】

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佐藤潤氏

佐藤潤氏

クラフトビール「よなよなエール」の醸造・販売を行うヤッホーブルーイング(本社長野県、井手直行社長)は今年、CRM施策を強化していくという。ECサイト「よなよなの里」店舗運営責任者の佐藤潤氏に16年のEC重点施策を聞いた。

「会社のファン」へ

 ─16年はどんな取り組みを通してEC事業を強化していきますか。
 今年の大きなテーマは「お客さまとのつながり強化」です。当社製品へのロイヤルティーを向上させられる活動に注力していきます。主に三つの施策を行っていきます。一つ目は「ライト層とのつながり強化」、二つ目は「イベントを通してのロイヤルティーアップ」、三つ目は「ヘビー層とのつながり強化」です。
 ─具体的にはどんな取り組みを予定していますか。
 まず「ライト層とのつながり強化」ですが 「お試しセット」の販売に力を入れていく考えです。
 近年、スーパーやコンビニなどでも当社の製品を取り扱っていただく機会が増えています。「店頭でパッケージを見て、ネーミング・デザインが気になったからネットで検索してみた」「店頭で購入してみて、おいしかったのでもっとこの製品について知りたいと思いネットで検索してみた」といったように、「店頭での接触」をきっかけにECサイトへアクセスしていただくケースが増えています。
 当社では、ECサイト限定の商品として、4種類のビールをセットにした「よなよなエールお試しセット」(税込1000円)を販売しています。商品自体は以前から販売していますが、昨年、梱包箱と同梱物を大幅にリニューアルしました。梱包箱は、外見こそただの茶箱ですが、ふたを開けると内側にデザインが施されています。
 よなよなエールのロゴや、各ビール(「インドの青鬼」「水曜日のネコ」など)のパッケージに登場するキャラクターなど、私達の製品のブランドの世界観を表現したデザインを施すようにしています。
 お客さまに「驚き」「ユーモア」という印象を持っていただくことにより、私たちの製品を強く記憶にとどめていただくことが目的です。同梱物としては、冊子を充実させました。「よなよなの里の歩き方」という冊子では、詳しい製品紹介を行っています。
 「製品のファン」だけでなく「会社のファン」にもなっていただきたいとの考えから、同冊子には、当社の「ミッション」についても詳しく記載するようにしました。当社のミッションは「画一的な日本のビール文化にバラエティを提供し、お客さまにささやか幸せを提供する」です。これに共感していただき、お客さまと一緒になって日本のビール市場を盛り上げていきたいと考えています。
 ─リニューアル以降、反応に変化はありましたか。
 これまで、同セットの商品レビューを見ると、「安くお得に購入できて良かった」という内容の書き込みがほとんどでした。リニューアル後は、「箱に感動した」「冊子でビールに対する理解が深まった」といったコメントが多く寄せられるようになりました。リピート購入にも好影響を与えており、確実に効果が現れていると感じています。
 製品や会社のミッションにこれだけ理解を深めていただいているのですから、通販だけでなく、店頭への送客や販売促進にも貢献できていると考えています。
 ─「イベントによるロイヤルティー強化」はどのように進めていくのですか。
 「リアルイベント」の企画・運営力は、製品力に続く当社の強みだと思っています。例えば、当社では、東京赤坂の飲食店「YONA YONA BEER WORKS赤坂店」で、ファンイベント「宴」を定期的に開催しています。また、長野・佐久平にある醸造所を社員自らガイドとなり案内する「よなよなエール 大人の醸造所見学ツアー」も行っています。これらのイベントは、チケットが発売と同時に即完売となるほどの人気となっています。
 昨年は多くのお客さまとお会いするために「超宴in新緑の北軽井沢」というファンイベントも開催し、約600人のお客さまにご参加いただきました。
 日本中の方と気軽にコミュニケーションが取れるよう、毎月一回ユーチューブを活用したオンライン飲み会番組「よなよナイト 今夜も飲まnight」を放送する取り組みにもチャレンジしています。私や社長の井手など、社員が出演しています。
 同番組では、事前にお客さまからいただいた、ビールや当社に関する質問・悩みにお答えしたり、放送中に視聴者からいただく書き込みにリアルタイムで回答したりしています。通販や店頭で私達の製品を販売するだけでなく、イベントを通してお客さまとのコミュニケーションを深めることにより、当社製品へのロイヤルティーをより高めていただきたいと考えているのです。

(続きは日本ネット経済新聞 1月21日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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