【博多久松 久松 松田健吾 常務取締役】DM、電話受注、人材育成を強化

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久松 松田健吾常務取締役

久松 松田健吾常務取締役

おせちや九州の総菜のネット通販サイト「博多久松」を運営する久松(本社福岡県、松田久美子社長)が売り上げ拡大を続けている。今シーズンも顧客のニーズを捉えたおせちの新商品を追加したほか、紙のダイレクトメール(DM)や電話受注にも力を入れている。松田健吾常務は各県の経験豊富なネットショップが地元の高校生にECの仕事を教える「楽天IT学校」の講師も今年から務めている。商品企画からECのページ作りなどを教えて、将来の人材育成にも熱心に取り組んでいる。今シーズンの計画と「楽天IT学校」の取り組みについて、松田健吾常務取締役に聞いた。

定番おせちを強みに

 ─おせちは洋風、中華、真空パックなど、商品の多様化が進んでいますが、これをどう考えていますか。
 おせち自体はスタンダードであるべきだと当社は思っていて、「博多久松」が得意とする商品も定番色の強いおせちです。洋風おせちもラインアップにありますが、黒豆など定番の食材をも入れて、洋風でも日本のおせちらしく作ることを意識しています。和風の食材は日頃の食卓に並ぶ機会が少ない珍味などが多いため、若い人が食べず嫌いになっているのかもしれませんが、実際に食べてもらうと、酢の物やニシンの和え物もおいしいと言ってくれます。
 ─「博多久松」のおせちは食育や伝統を意識しているのですか。
 おせちは食べる物に縁起を持たせたイベントであり、お母さんも正月三が日は休めるための食事とされてきました。しかし、昔からおせちを作る時間はとてもかかりますし、元日も台所を行き来する姿がよく見られました。例えば、家族の皆が好きな食材だけあらかじめ家庭で作っておいて、ほかのおせちは購入すれば、元日に家族全員で一緒に食事を始めることができます。そういうだんらんの時間も商品を通じて提供したいと考えています。
 ─今年追加したおせちについて聞かせてください。
 まず、2~3人前の洋風おせち「Sakurazaka」です。4年ほど前に販売開始した4~5人前の洋風おせちも人気があったため、ニーズを捉えてワンサイズ小さなものを作りました。同時に今年は、6~7人前のおせちが1段の大きな重箱に詰まった「西新」も追加しました。以前、一番人気の「博多」と、洋風おせち「Akasaka」のいいところを取った形で販売していましたが、お客さまに伝わりにくかったため、超特大の一段重として再度販売しました。今年はテストということでどちらも1000セット限定で販売しましたが、予約の入るスピードが早く、両方とも完売しました。
 ─前期の売り上げについて教えてください。
 15年6月期も目標通り、前期比約1割増の16億8000万円の売り上げとなりました。卸売りもしていますが、ECの割合が多いです。久松には営業とマーケティング担当がおらず、商品開発も基本は料理長と私で手掛けているので、まだまだ改善できる余地がたくさんあります。
 ─電話受注も強化しているそうですが。
 13年から大型チラシのような、1枚で開いて見せる形のDMを配布するようになってから電話注文が増えています。昨年は全体の売り上げのうち約1割が電話受注でした。今年はDMの配布数を昨年の約2倍となる2万7000枚にし、電話受注率を2割にしていく計画です。これから3年間で3割を超えると見込んでいます。電話で注文するお客さまの評判はよく、満足度の高い注文方法になっているようです。自社のコンタクトセンターで受けた電話に激しいクレームはありません。電話が集中するときはアウトソーシングも活用していますが、できる限り自社で電話が取れるようにして、アウトソーシング先の教育につなげたいと考えています。

(続きは日本ネット経済新聞 11月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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