【BASE 鶴岡裕太 代表取締役CEO】カードすら不要の決済環境を作りたい

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ECサイトを無料で開設できるプラットフォーム「ベイス」を展開しているBASE(ベイス、本社東京都、鶴岡裕太社長)は9月7日、オンラインの決済代行サービス「PAYJP(ペイドットジェーピー)」を開始した。簡単に導入でき費用も安いのが特徴だ。初年度で1000件の導入を目指す。鶴岡社長に決済代行サービスの特徴や今後の展望について聞いた。




初年度計画1000店
-「ペイドットジェーピー」の特徴を教えてください。

 「ECサイトやウェブサービスにクレジットカード決済機能を簡単に導入できるサービスです。シンプルなコードを書くだけで決済機能を実装でき、加盟店審査は数日で完了するなど既存の決済サービスよりも手軽に導入できるのがメリットです」

-利用料の安さも目を引きます。

 「初期費用と決済手数料は無料で、16年5月までは月間決済額が1000万円以下なら手数料を無料にしました。5月以降の手数料率は最低3・0%から。シンプルな料金体系で、業界最低水準に設定しています。国際カードブランドのビザ、マスター、アメックス、JCB、ダイナース、ディスカバーの6社に対応しました」

-利用店舗数の獲得計画は。

 「サービス開始から1年間で1000件の導入を目指します」

-どのように「ペイドットジェーピー」を普及させる計画ですか。

 「当面はスタートアップ企業やベンチャー企業など、将来性が高い企業に初期段階から使っていただくことを目指します。EC事業者と一緒に決済サービスを大きくしていくというのが基本的なスタンスです。決済代行サービスで先行する大手と営業力で勝負するのは得策ではないと思っていますので、営業陣をそろえて既存のECサイトの決済サービスをひっくり返すような戦略はとりません」
 「『ベイス』を利用しているEC事業者も見込み客になります。『ベイス』を使っている店舗の中には、売り上げが増えたために独自のECサイトを構築するケースもありますので、そういったときに『ペイドットジェーピー』を利用していただくことが決済事業の有力な導線になると思います。『ベイス』の登録店舗数は20万店舗を超えており、毎月約1万店が新たに登録しています。これだけ多くの見込み客を持っているのは大きなアドバンテージです」

満を持して決済に参入

-「ペイドットジェーピー」の競合となり得るサービスとして「ストライプ」「ペイパル」「スパイク」などがあります。こうしたサービスとの差別化のポイントは。

 「手数料の安さや審査期間の短さのほか、管理画面の使いやすさ、決済ブランドの多さ、決済のトランザクション処理のスピードなどサービスの質でも負けていないと思っています。EC事業者や消費者にとって一番使いやすく、メリットのある決済サービスを追及していきます」

-「ペイドットジェーピー」のアカウントを持つ消費者は、「ペイドットジェーピー」を実装した店舗であれば一つのIDでログインや決済ができるのですか。

 「そういった機能は1年以内に開始する計画です」

-鶴岡社長は12年12月の創業当初から、将来は決済事業に参入したいと公言していました。

 「当初から決済と金融を手掛けたいと思っていました。ただ、いきなり決済サービスを作ろうと思っても、見込み客がいなければリリースするのは難しい。見込み客を見つけることが決済事業に参入する際の一番のハードルでした。そのため、まずはショッピングカートの『ベイス』をリリースしました。『ベイス』はショップを作った瞬間に、クレジットカード決済やコンビニ決済を使えるというのが比較的イノベーティブだったと思います。インターネットでビジネスを行う人に対して、いかに最適なソリューションを提供し、経済活動の拠点になれるようなプロダクツを提供するかが当社の基本的なミッションです。そういった意味ではショッピングカート事業も決済事業も、基本的な方向性は変わっていないと思っています」

-決済代行事業への参入を見据えて「ベイス」を始めたということですか。

 「そう言ってしまうと少し格好良すぎてしまうかもしれませんが、基本的にはその通りです。『ベイス』の店舗が決済サービスの見込み客になりますし、ショッピングカート事業を先行して行ったことで会社としての体力をつけたり、信頼を高めたりすることができました」

(続きは日本ネット経済新聞 10月8日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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