【ネットショップ総研 長山衛 社長】革新的おせちを開発する事業者増える

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長山衛社長

長山衛社長

革新的おせちを開発する事業者増える
 さまざまな通販サイトの運営代行を手掛け、特におせちの商品企画、販売戦略支援に精通しているネットショップ総研(本社東京都)の長山衛社長に、今シーズンのネットのおせち市場のトレンドや売り方のポイントを聞いた。

管理体制が問われる
-今シーズンのネットのおせち市場をどう捉えているか。

 当社のデータによると、前年比20%増の予想だ。楽天市場のおせち市場は30億円前後と推測しており、上位3社が全体の6割を占有する状況となっている。広告負担やバックヤード体制の難易度から、新規参入がいっそう難しくなったと見ているが、昨年は「深海魚おせち」「温めるおせち」「おせちパン」などの変わり種も現れ、今年も各社の市場開拓が活発になりそうだ。不良在庫を回避する目的で年末に激安販売が開始すると同時に、掲示板に情報が流れるため、そのタイミングを待つ人も多く出ている。昨年末に投げ売りをした店舗はすでにマークされ、安売り店のイメージが定着してしまう。より製造ラインの微調整や管理体制が問われるだろう。

 -今シーズンのトレンドは。

 「洋風おせち」が挙げられる。昨シーズンは「和風おせち」が全体の7割を占め、じわじわと伸び率は高まった。今年は「洋風おせち」が15~20%を占めると予想している。購買行動としては、10月末まで昨年購入した店舗でグレードを上げた商品を選び、それを早期割引購入する動きが昨年以上に活発になっている。商戦本番となる11月以降は良品を安く」「安心安全」を訴求できる店舗に軍配が上がると見ている。

スマホ対策で勝負

-売り方で気を配るべきポイントは。

 昨年以上にスマホ経由の売り上げの伸びが顕著になっている。PCの縦長ページをそのままリサイズしている店舗も多く見られるが、読み込みに時間がかかりやすいため、スマホ用に制作する必要性がある。スマホ対策は上位店でも取り組みがまばらで、逆説的にスマホページの作り込みは後発店舗でも勝負できるファクターと言える。このほか、上位店舗を除き、成功している店舗は広告費を売り上げの15%以上を投下している。苦しい数値だが、勝負をかけた店舗は高い成功率となっている。また、仕入れ販売ではなく自社製造販売が高い伸びを見せている。商品ブランドではなく店舗ブランドの確立を成し得た店舗として広告比率を低減できる。収益の上でも成功を収める店舗が見受けられる。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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