クルーズは12年7月から、アパレルECサイト「SHOPLIST.com by CROOZ(ショップリスト・ドットコム・バイ・クルーズ)」を運営している。ショップリストの15年3月期売上高は前期比49・9%増の97億2600万円となり、過去最高を達成した。コマース事業を担当する張本貴雄取締役に、EC事業に関する戦略と今後の展望を聞いた。
複数ブランドをまとめて販売
-前期(15年3月期)のEC事業による売上高は。
15年3月期では、前期比49・9%増の97億2600万円となりました。増収要因は、主に(1)商品数と在庫量の拡大(2)物流の強化(3)プロモーションの強化-の三つが挙げられます。ショップリストは、9月上旬時点で約230ブランド、10万点以上の商品を取り扱っています。ショップリストの取扱商品は、他のECプラットフォームやECサイトと同様の商品を取り扱っていることから商品による差別化はありません。ではなぜショップリストがお客さまに支持されるのか。
一つは、ビジネスモデルの違いです。ショップリストは、複数のブランドをまとめてカートに入れ、一括で決済することができ、配送も1回で済みます。また、販促キャンペーンや送料無料キャンペーンも1ブランドだけでなく、複数ブランドでまとめて商品を購入した際に適用できる点も他サービスとの大きな違いで、他のECサイトよりもお得に商品を購入することができます。
-物流の強化では具体的にどんなことに注力していますか。
ショップリストでは、顧客の注文ごとにブランドの倉庫からショップリストの倉庫に商品が納入され、注文があった商品全てを同梱して顧客に商品を配送するという流れが主体でした。しかしこの場合、顧客への配送リードタイムが最短でも3日以上かかってしまいます。
そこで前期は、注文前にショップリストの倉庫に商品を先に入れてもらう取り組みを行ってきました。この取り組みは、未来の消化予測の精度が鍵となるのですが、ショップリストでは顧客の注文データや行動履歴から、未来に売れるであろう商品と数量の予測ができるシステムを開発しました。
この、先入れシステムがあることでブランドも安心して商品を預けることができており、先入れ商品の取扱高は順調に推移、これが増収の一つの要因と考えています。今後はさらにこれを強化し、お客さまの希望日時に商品が届けられる物流を目指しています。
それに加えて、物流のハード面の強化です。多品種・小ロットで運営している物流としては、かなり高いレベルで物流を回せているものの、今後、さらに入荷と出荷のキャパシティーを広げていくためには、自動化できる部分にマテハンを入れるなど新しい改良を加えていく必要があります。物流は、常にサービスの規模感に合わせて日々変化させていくことが重要です。3年で100億円というショップリストの成長スピードに合わせたショップリスト独自の物流を作っていくことが、今後の課題の一つだと考えています。
(続きは日本ネット経済新聞 9月17日・24日の合併号で)
【クルーズ 張本貴雄 取締役】前期売上高は50%増の97億円
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