《Eコマース業界地図「転換率向上編」》NTTドコモ「ecコンシェル」/導入数は3200社/AIが購入率・単価を最適化

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(写真左から)イノベーション統括部の林智紀氏、羽矢崎聡氏、石川雅意氏

(写真左から)イノベーション統括部の林智紀氏、羽矢崎聡氏、石川雅意氏

 NTTドコモが提供するウェブ接客ツール「ecコンシェル」の導入社数は3200社を超えた。人工知能(AI)が購入率や顧客単価を自動最適化する仕組みを無料から提供し、導入社数は業界トップとなる。簡単な設定で導入でき、クリエーティブの制作や運用も自動化可能。EC担当者の手間を省き、低コストで着実に成果を上げられるコストパフォーマンスの良さが好評だという。
 「ecコンシェル」は2年前、「dショッピング」や「マガシーク」などNTTドコモグループのECサイトを活性化するために開発した。自社で運用し、高い成果が出たことから16年6月、一般提供を開始した。
 「dファッションでは初回購入のお客さまに1000ポイントを進呈しているが、サイト内で特典を紹介している場所がページ下部のキャンペーン紹介コーナーで、目立たなかった。『ecコンシェル』により、未購買のユーザーが商品ページへ訪れたときにポップアップで特典を紹介したところ、コンバージョン(転換)率が約153%向上した」(イノベーション統括部・羽矢崎聡氏)と話す。

■高性能AIが高速改善

 高い成果を上げている背景には高性能なAI技術がある。ディープラーニングの最新技術を持つPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)とAIを共同開発。設定したセグメントに対して、どの施策が最も効果があるかをAIがリアルタイムに判断し、自動的に施策を最適化することにより、成果を最大化するという。
 「高度な仕組みだが、EC担当者は簡単な設定で利用可能だ。接客内容を複数設定しておけば、あとはAIが自動で最適化する」(イノベーション統括部・石川雅意担当課長)と話す。
 接客施策として表示するバナーを自動作成する機能「オートクリエーティブ」も提供している。
 ウェブ接客の成果は、管理画面で視覚的に確認できる。
 「ポイントはウェブ接客による『純増売り上げ』を可視化している点だ。これは、単にウェブ接客が関与した売り上げではなく、ウェブ接客を実施しなかった場合との比較を行い、ツールの導入によって増加した売り上げのみを効果として表示している。そのため、成果を分析する手間を省くことができ、EC担当者がさらに事業展開を加速できるようにしている」(石川担当課長)と話す。
 「ecコンシェル」は1サイトのみであれば無料で導入でき、永年無料で活用可能だ。10万PVごとに月額3000円かかる機能無制限の「PV課金プラン」や、同社の担当者が運用をサポートする「コンサルティングプラン」といった特別プランも提供している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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