【百貨店の食品宅配】/ 外商と組んだ優良顧客向け戦略へ/ 都心のシニアにターゲット絞る

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百貨店が食品宅配事業のテコ入れに乗り出している。高島屋や三越伊勢丹は今春から、外商担当者が抱える顧客に食品宅配の営業を開始。百貨店で食品を購入するシニア層に、営業のターゲットを絞り込むことで、単価アップを狙う。三越伊勢丹では、中止していたFAXによる注文を6月末に再開する。アナログのツールを復活させて、シニアの利用を促進させる。シニアをターゲットにした百貨店の食品宅配事業が新たなステージを迎えている。
 高島屋 会員数1・8万人で推移
 「開始当初に比べると、売り上げは伸びている」
 島屋のクロスメディア事業部の高橋豊事業部長は、6月で開始から1年が経過する食品宅配サービス「ローズキッチン」についてこう振り返る。平均単価は現在8000円弱。会員数は当初の計画より3000人少ない1万8000人で推移しており、8月の中間決算までに目標達成を見込む。
 「ローズキッチン」は、高島屋の地下で販売している食料品や生鮮食品などをネット・電話で注文できる宅配サービスで、最短で注文の2日後に自宅まで届ける。有機栽培の農産物や菓子なども取り扱う。専用サイトのほか、シニア向けに商品カタログも発行。サービスエリアは1都6県となっている。
 開始当初は、店頭やカタログ通販の主要顧客である60代以上のシニア層だけでなく、通販サイトを利用している30~40代の子育て世代もターゲットに設定。しかし、実際には、ネットからの注文方法が2割にとどまり、シニアによる電話注文が中心だった。「商品単価が高いため、結果的に子育て層にはアプローチできなかった」(高橋氏)としている。
 こうした状況を踏まえ、今年3月から百貨店の外商顧客に対する対面でのアプローチに乗り出した。外商顧客ではない一般のカード会員などにも、ダイレクトメールで案内を行っている。
 食品宅配サービスの会員獲得につなげているほか、外商担当者にとっては訪問機会の拡大にもなっている。「従来の外商では月1~2回の訪問だったが、食品をきっかけに訪問回数を増やすことができた」(高橋氏)と話す。特に、外商顧客は、高島屋の地下売り場を知り尽くしていることもあり、自宅に居ながら食品を購入できるメリットの反応はいい。
 食品宅配の提案により、店舗に行く回数が減った年配顧客の掘り起こしにもつながっているという。
 外商部門との連携を機に、商品開発も変更した。外商顧客が好むような、より付加価値の高い商品を増やした。今後は、高級品の頒布会のような定期購入の導入も検討していく。
 これらの商品は、外商担当が収集する家族構成、利用頻度、ニーズを踏まえて商品開発されている。
 外商担当者のモチベーションアップにつなげるため、今後は社内の評価体制に、宅配の新規紹介件数を盛り込むようにしていく。16年2月期の会員は3万人が目標。「まずは、関東エリアで成果をあげてから全国展開を視野に入れる」(高橋氏)と話す。

(続きは「日本ネット経済新聞」6月18日号で)

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