広告表示への規制が一段と強化される可能性が出てきた。消費者契約法と特定商取引法の見直しを進めている消費者委員会は、誇大広告を見て商品を購入した消費者が契約を解除しやすくする法改正の検討を進めている。8月にも一定の結論を出す見通しだ。ただ、法改正が実現すればネット通販などで解約が頻発する恐れもあり、健全な経済活動が萎縮する可能性が高いとして経済界や通販業界は猛反発している。
広告は勧誘行為か
消費者委員会は14年11月に「消費者契約法」の見直しに着手。今年3月5日から「特定商取引法」の見直しに向けた議論も開始した。それぞれ専門調査会を設置し、消費者保護のために必要な改正内容を検討している。
法改正の主要な議題の一つが広告規制の強化だ。
消費者契約法の見直しを行っている「消費者契約法専門調査会」の複数の委員は、契約に直結するネット広告やチラシ、通販カタログなどの表示を「勧誘行為」と明確に規定するよう求めている。
違法な勧誘行為を受けた消費者は契約を取り消せるとした消費者契約法第4条を、誇大広告などにも適用できるようにするのが狙いだ。
広告規制は景品表示法による規制を受けるものの、契約の取り消しは現実的には難しい。通販やECが拡大する中、誇大広告や虚偽広告による消費者被害が増えているとして、消費者団体や弁護士などが消契法の改正を求めている。
特商法の見直しを行っている「特定商取引法専門調査会」の複数の委員も広告規制の強化を主張している。
第1回調査会では、ターゲティング広告の発達で誘引性の高いネット広告が増えている現状を踏まえ、単なる表示規制にとどまらず、誇大広告を見て商品を購入した場合には契約を取り消せるようにすべきという意見が相次いだ。
「特定商取引法専門調査会」の事務局は、消契法と特商法の見直し議論について「歩調を合わせる」と明言。広告規制の検討は両調査会で平行して行われる可能性が高い。
経済界は猛反発
広告への規制強化論に対し、経済界代表の委員からは反対意見が相次いでいる。
(続きは日本ネット経済新聞 3月26日号で)
〈特商法・消契法の改正〉 広告の規制強化を議論/誇大広告で契約無効も
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。