家電EC/競争激化を回避/商品戦略やモール出店強化

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デンマートは取り付け工事が必要な家電の販売に注力している

デンマートは取り付け工事が必要な家電の販売に注力している

 家電EC企業が価格競争からの脱却を図っている。デンマートは取り付け工事が必要な家電の販売に注力して顧客満足度を向上、EC事業の付加価値を高めている。ディーライズは大手ECモールの販促力を活用して販売数を増やすことで、価格比較サイト内での競争激化を回避している。ストリームは主力の家電品以外の商品ジャンルを拡充して、売上高や利益の向上を図っていく考えだ。家電EC事業者は価格訴求を武器に成長を遂げてきたが、安売り競争による利益率の低下は限界に達しつつあると判断。価格訴求とは異なる商品戦略やECモールへの出店強化で活路を見いだそうとしている。



■取り付け商品に注力

 家電のECサイトを運営するデンマートは、エアコンや温水洗浄便座、食器洗い乾燥機など、取り付け工事が必要な家電の販売を強化している。全国の工事業者とネットワークを結び、取り付け工事に強いEC事業者として価値を高めてきた。顧客の居住地域や購入商品、工事内容に応じて最適な業者を手配するため、顧客の元に早く商品を届けることができる。
 商品を大量に仕入れ、低価格で販売する大手家電EC企業に対抗するため、価格以外での付加価値を訴求。取り付けサービスの強化に着手した。家電EC企業は設置業者に対する顧客からのクレーム対応に追われることも多く、取り付け工事サービスを提供しないケースが多い点に着目した。
 取り付けサービスを提供するには、従業員教育や工事業者とのやり取りも負担となる。デンマートは約10人の社員が取扱商品や各商品の工事方法を把握し、メールや電話での問い合わせに対してその場で回答できる体制を整えている。そうした地道な取り組みにより顧客満足度の向上につなげている。
 現状の売上総利益率は非公開としているが、「外的要因による影響は少なく、安定した経営ができている」(鈴木秀幸社長)と言う。
 同社は電話での商品注文も受け付けている。ユーザーの半数以上を40代以上の中高年層が占めており、ネットが不慣れなユーザーに対し、丁寧な説明ができる利点があるという。
 ニーズの少ない地デジチューナーなどの生産終了品やストーブなどの季節商材の品ぞろえにも注力している。メーカーや卸売り業者から在庫を買い取り、ストックしているのだ。
 鈴木社長は「少数ではあるが、欲しいと問い合わせをしてくるお客さまは存在する。そうした方々の声に耳を傾けることでさらなる満足度の向上につなげていきたい」と語る。


■モール出店で集客増加

 家電ECサイトを運営するディーライズは、ECモールへの出店で集客を伸ばしている。17年2月期の売上高は前期比22.4%増の114億7000万円となった。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月22日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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