ヒラキ/ECへのシフトを推進/向畑社長「カタログ売上は維持」

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向畑達也社長

向畑達也社長

 靴のヒラキは、ECへのシフトを推進している。17年3月期のEC売り上げは前期比約10%増の約52億4000万円だった。通販売り上げ全体の約56%を占め、比率は増加傾向にある。
 ただ、「当社はカタログの重要性を認識しており、今のところ(紙媒体経由の売り上げを)減らすつもりはまったくない」(向畑達也社長)と言う。カタログ経由の売り上げを維持したまま効率的にECへのシフトを進める。そのためのポイントとして(1)紙媒体の効率運用(2)EC強化(3)フルフィルメントの見直しーーーの3点を挙げる。
 ECへの移行を進めつつ紙媒体を有効利用するためにカタログに掛かるコストを圧縮している。近年、DMカタログ2冊(大人版、子ども版)を統合したほか、一部の既存顧客へのカタログをダイジェスト版に切り替えた。カタログ統合以前と比べ、DMの単価を5%削減できたという。
 EC強化としては、スマートフォンの購買動線をまとめ買いしやすい仕様に改善した。現在、スマホ経由の売り上げはEC売り上げの約65%。ヒラキでは一度に5400円以上を購入すると送料が無料になるため、「スマホでもストレスなく利用できる売り場に改善し、7~8点のまとめ買いを促している」(姫尾房寿取締役執行役員)。
 新規顧客の獲得に向けては、リスティング広告、リマーケティング広告、商品リスト広告などウェブ広告を拡大。既存顧客のリピート促進策としてインスタグラムなどSNSも活用している。昨年4月、LINE@でデジタルチラシの配信を開始したところ、フォロワー数は1年間で8万人となった。
 これらの施策が奏功し、17年3月期のECサイト訪問者数は前期比17%増となった。
 EC経由の受注件数は17年3月期に同12%増となるなど増加傾向にあるため、16年10月にカスタマーセンターを組織変更した。顧客の声をヒアリングし、商品開発やサービスの改善につなげる体制づくりを進めている。
 「4~5年前からECへのシフトを本格化しているが、この2年くらいでようやく効果が出てきた」(向畑達也社長)と話す。今期もテレビCM、カタログ、ウェブ広告、SNSなどによるメディアミックス施策を展開し、販促を強化するとしている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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