ECセキュリティー/常時SSL急速に広がる/モール・カートが一斉に対応

 サイト全体でユーザーとの情報のやり取りを暗号化する「常時SSL(※エスエスエル)」の導入が、EC業界で急速に進んでいる。ヤフーは3月までに全ページのSSL化を完了、楽天も7月までにSSL化を完了させると発表した。SSLは単なるセキュリティー機能ではない。グーグルがSSL化を強く後押ししており、SEOや購買転換率にも、SSL化の有無がすでに影響を与え始めているとの指摘もある。「今後すべてのサイトがSSL化する」と識者は口をそろえており、EC業界でも対応が迫られそうだ。


 ヤフーは3月31日までに、ニュースや天気予報など全てのサービスの常時SSL化を完了した。楽天も7月までの常時SSL化を目指しており、出店者に対応を求めている。
 SSLとは、ユーザーからサイト運営者に送信するデータを暗号化するセキュリティー機能のことだ。SSL化するには、利用するサーバーについて外部機関から認証を得る必要がある。SSL化したサイトでは、アドレスバーに鍵のマークが表示される。
 サイトの常時SSL化には当然、費用が発生する。サイトの改修には、「モール店なら2万~4万円かかる」(エクセレント・鷲尾氏)と言う。時間的にも「作り込んだサイトの場合は数日かかることもある」(同)としている。
 複雑なシステムを構築している自社サイトではなおさらだ。リフォームECを行うサンリフレホールディングス(本社東京都、栗原将社長)の場合は、「常時SSL化作業を外部のシステム会社と共同で進めているが、費用は数十万円規模だ」(企画制作部・狩野祐也氏)と言う。
 独自ドメインの自社サイトでも、常時SSL化が徐々に進んでいる。カメラや時計など高額品を販売するシュッピンは14年、いち早く自社サイトの常時SSL化を行った。「なりすましサイトの被害が当時は増えていたため、予防策として常時SSL化を行った」(広報)のだと言う。
 楽天は「常時SSLはもはやネット業界のスタンダード。ユーザーの安全のためにも必須だと考えた」(広報)と常時SSL化の狙いについて話す。
 サイト制作を手掛けるエクセレント(本社岡山県、筒井章年社長)が5月に、楽天市場のSSL対応についてブログに投稿したところ、「ブログを見たという新規問い合わせが1週間で5件寄せられた」(鷲尾和子オペレーター)と言う。関心の高さはうかがえたが、「何が必要なのか分かっていない出店者も多いようだ」(同)とも話した。そんな中、楽天が常時SSL化を急ぐ背景には、グーグルを中心に進められている、常時SSL化の流れがある。
 グーグルは14年8月、「HTTPSをランキングシグナルに使用します」と題した記事を公開した。グーグルがサイトを評価する基準にSSL対応の有無を含めるという内容だ。同記事は、「常時SSLはSEOで有利だ」と言われる根拠になっている。

■SEOは評価割れる

 常時SSL化することはSEOにおいてどれほど有利なのだろうか。この点については、SEOの専門家の間でも意見が割れている。

(続きは、「日本ネット経済新聞」5月18日号で)

※SSLとは……サイト利用者が入力したデータを一度暗号化して、サイト運営者の手元で復元する仕組みのこと。決済ページだけでなくサイト全体をSSLに対応させることを「常時SSL」と呼ぶ。対応サイトはURLが全て「https」から始まるため、「HTTPS化」とも呼ばれる。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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