ヤマト運輸×DeNA/顧客が車両から直接受取/自動運転配送を見据えた実用実験

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「ロボネコデリバリー」と「ロボネコストア」で利用する配送車両

「ロボネコデリバリー」と「ロボネコストア」で利用する配送車両

 ヤマト運輸とディー・エヌ・エー(DeNA)は4月17日、神奈川・藤沢市の一部エリアで、配送車両から顧客が直接商品を受け取るサービスの実用実験を開始した。有人運転で行うが、将来的な自動運転配送を見据えた取り組みとなる。顧客の希望する場所で荷物を受け取れる「ロボネコデリバリー」と、ネットで一括購入した地元商店の商品が配送される「ロボネコストア」の2サービスを、来年3月末まで検証する。
 実用実験は、自宅以外のどのような場所に受け取りニーズがあるのか、また、路上など屋外で受け取ることの安全性の検証を目的とする。サービスは3台の車両から開始する。
 「ロボネコデリバリー」の配送時間はヤマト運輸の宅急便と同じ午前8時から午後9時まで。「ロボネコストア」はこの時間帯のうち、加盟店の営業時間内に対応する。受け取り時間は10分単位で指定でき、場所は安全性を考慮した路上から選択できる。
 配送車両が到着する3分前に自動音声の電話がかかってきて顧客に知らせる。車両の扉を開けると画面が設置されており、顧客は注文時に送られたメールに表示されるバーコードか暗証番号を打ち込むと荷物が入っている車内のボックスが開けられる仕組み。配送車両には八つのボックスがあり、六つは常温、二つは冷蔵・冷凍に対応する。
 「ロボネコデリバリー」は対象地域在住でヤマト運輸の会員制度「クロネコメンバーズ」の登録者が利用でき、「ロボネコストア」は配送先が対象エリア内であれば誰でも利用できる。
 「ロボネコストア」は注文金額が3000円未満で送料324円(税込)、3000円以上で無料となる。飲食店も対象で、スタート時点で12店舗が参画した。
 ドライバーの人手不足解消と、消費者の受け取り需要の多様化への対応につなげる。運転技術、体力、コミュニケーション力が必要なドライバーの負担を軽減することで、雇用拡大にもつながると期待している。ヤマト運輸は「対面営業を軸にしながらも、こうした非対面オペレーションも強化したい」(阿波誠一常務執行役員)と話す。
 DeNAは「自動運転技術は過疎地の配送にも役立つ」(中島宏執行役員)と今後の展開を述べた。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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