アスクル16年6月―17年2月期/純損失が29億円/通期最終赤字の可能性

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記者会見する岩田彰一郎社長

記者会見する岩田彰一郎社長

 アスクルの16年6月―17年2月期(第3四半期)の連結業績は、純損失29億2500万円の最終赤字となった。物流センターの火災により特別損失101億円を計上した。火災保険と運送保険を合わせて最大46億円となる保険金の受取金額が確定していないため大幅な特損計上となった。
 連結売上高は前年同期比9.6%増の2517億1800万円。営業利益は同2.0%減の66億9500万円、経常利益は同2.3%減の66億4900万円だった。保険金は現在査定中で、通期決算では計上できるとしている。
 事業別売り上げは、BtoB事業が同5.6%増の2151億円、個人向けサービス「LOHACO(ロハコ)」が同39.6%増の328億円。「ロハコ」の営業利益は34億円の赤字だった。
 「ロハコ」は火災による遅配と欠品が生じたことから、注文受付時間を縮小しているが、岩田彰一郎社長は9月末の完全な再開を目指すとしている。すでに都内と埼玉県内には、法人向けの物流を担う、代替の物流センター3拠点が稼働している。同社としては、東日本エリアの法人向け物流を3拠点に集約、横浜のセンターを「ロハコ」の物流に専念させる考えだ。
 さらに、埼玉県日高市内には、「ロハコ」の物流を担う新拠点「アスクルバリューセンター(仮称)」を開設しており、4月中に出荷を開始する予定。火災があった物流センターは2年後を目途に復旧させるという。
 第3四半期の業績発表と同時に、17年5月期の通期業績予想を、売り上げ、経常利益ともに下方修正した。売り上げは当初予想を130億円下回る3350億円(前期比6.3%増)、経常利益は15億円下回る80億円(同5.9%減)とした。純利益は未定としている。「通期業績に保険金を計上できなければ最終赤字になる。計上されても最終赤字回避は確実視できない」(玉井継尋執行役員)としている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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