Wowma!/集客、流通、店舗メリット向上へ/au経済圏、ポイント利用促進に期待

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「Wowma!」の18年3月期 主な事業計画

「Wowma!」の18年3月期 主な事業計画

 1月30日に始動した新モール「Wowma!(ワウマ)」。KDDIグループの新会社、KDDIコマースフォワード(KCF、本社東京都、八津川博史社長)が運営主体となり、KDDIが推進している「au経済圏」の一員として事業拡大を図っていく。auのポイントが循環する上で、コマースはポイントを使う場として期待が高く、auユーザーの大きな集客を見込んでいる。KDDIグループの持つ膨大なデータを活用した販促施策も進める考えだ。20年3月期までに流通総額1500億円を目指す計画や、出店プランの大幅な改定を発表するなど、現在の出店者だけでなく多くのEC事業者から注目を集めている。

■出店料値下げで多店舗展開
 3月14日に都内で開催した出店者向けのフォーラムで八津川社長は、「18年3月期は出店者数、店舗数の拡大を図ってベースを固め、期末に向けて二次関数の曲線のように集客と流通額を伸ばしていく」との計画を発表した。
 そのための施策として、出店者から最も注目を集めたのが、今年7月から導入する新出店プラン(上図)だ。入会金、月会費を値下げし、出品数の上限も大幅に引き上げる。
 これに対し、「ワウマ」の「ベストショップ大賞2016」で総合3位を受賞した爽快ドラッグ(本社東京都)や、総合4位のアイリスプラザ(本社宮城県)などは、商材別に多店舗展開して専門店化が図りやすくなるとみている。「ペット用品、収納用品などカテゴリーで専門店化すると、信頼感や安心感が高まると思う」(アイリスプラザ)と話す。
 また、出店にかかるコストが削減できる分、サービスへの投資を検討したいという声も聞かれる。
 auユーザーの流入を期待する意見も出店者から挙がっている。ベストショップ大賞で総合2位を受賞した「神戸レタス」を運営するマキシム(本社兵庫県)は「通信キャリアにしかできないアプローチがあると思う。当店は9割近くがスマホ経由の購入なので、画期的なアプローチに期待する」と話している。
 KCFはリピート顧客の育成に不可欠なアプリの全面刷新に取り掛かっており、夏ごろをめどに完成させる計画だ。
 KDDIグループとしてアプローチできる顧客数が拡大するだけでなく、活用できるデータ量も、データ分析力も向上する。グループの広告事業会社、Supership(スーパーシップ、本社東京都)との開発で、auを利用していない顧客データも活用した検索エンジンと商品レコメンドの強化を図り、広告メニューも高度化させていく。
 これまで、若年層が多いイメージの強かった「ワウマ」だが、獲得したい顧客層に広告が表示されるようになれば、その効果は大きいものになりそうだ。

auモールと統合で効率化
 前身の「DeNAショッピング」と「auショッピングモール」の名残がある形で、現在も「ワウマ」と「Wowma! for au」の2つを運営しているが、これを夏頃に統合する。
 2つの売り場があることで、キャンペーンやマーケティングのバラつきがあったり、それぞれでポイント付与の設定をしないといけないなどの出店者の負担もあったようだ。
 統合することで効率化が図れ、販促に割ける時間が増えると考える出店者は多く、健康食品ECのオーガランド(本社鹿児島県)は「統合するだけでも売り上げが拡大するのではないか」と期待を寄せる。
 まだ出店したことのない事業者や、過去に「DeNAショッピング」に出店していた事業者も、「ワウマ」の事業戦略に関心を寄せている。
 まずは「ワウマ」の流通総額、集客数、その中で自社の商材の占める流通額やターゲット顧客層などの推移を見守りたいようだ。
 現在、「ワウマ」に出店していないEC事業者は出店料の値下げに大きな魅力を感じているが、店の運営にあたる人員の確保や、導入しているシステムを「ワウマ」に対応しなければいけないといった点で、現時点では様子見というスタンスの事業者が少なくない。
 これに対してKCFは、EC支援サービスの「ワウマ」対応が進むことが店舗数増加の大きな要因になると捉えている。
 楽天市場とヤフーショッピングの店舗向けに販促ツールなどを展開しているオーガランドは従来、楽天市場向けのツールだけを提供していた。しかし、ヤフーの出店料無料化に伴い、EC事業者からの要望を受け、ヤフーショッピング向けにもツール提供を始めた経緯がある。「ワウマ」に対するEC事業者の要望や期待が高まれば前向きに対応を検討したいとしている。EC支援会社の動きも注視すべきだろう。

今年7月から導入する新出店プラン

今年7月から導入する新出店プラン

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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