楽天/国内EC流通額3兆円超/楽天市場の購入者数、注文数増加

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 楽天の16年12月期における国内EC流通総額(トラベル、ネットスーパー、ケンコーコム、爽快ドラッグなどを含む)は、前期比12.0%増の3兆95億円だった。16年1月に開始した、「楽天市場」のスマホアプリや楽天カード、楽天モバイルの利用で「楽天市場」で付与されるポイントが常時最大7倍になる「スーパーポイントアッププログラム(SPU)」が奏功し、購入者数と注文件数が増加している。
 16年12月の「楽天市場」における購入者数は前年同月比10.1%増、注文件数は14.7%となり、SPU開始以降、年間を通して安定的に増加した。
 SPUの効果で、「楽天市場」の流通総額のうち、楽天カードによる決済比率は12月時点で51.2%に達したほか、第4四半期(16年10―12月期)のモバイル比率は前年同期比6.6ポイント増の60.8%となった。
 楽天はAI(人工知能)とデータの活用を推進している。この中で「楽天市場」の出店者向けサービスとしては昨年、「Rカルテ」と「ページ診断サービス」を開始した。
 「ページ診断サービス」は1100店舗限定で開始し、転換率が平均43%向上した。今月から全出店者に無料開放し、「楽天市場」全体の転換率向上を期待している。
 楽天は16年2月に、20年までに国内EC流通総額を5兆2000億円に成長させると発表した。16年12月期から計算すると、年間平均14.7%ずつ拡大する必要がある。
 第4四半期は前年同期比14.7%増となっていたことから軌道に乗ったと捉えている。
 16年12月期の国内と海外を合わせたグローバル流通総額は10兆7000億円、会員数は10億1000万人となった。
 海外ECでは特に米国の会員制オンライン・キャッシュバック・サイト「Ebates(イーベイツ)」が好調で、16年12月期の流通総額は前期比32.7%増の65億米ドルとなった。イーベイツがけん引し、米国の流通総額は140億ドル(1兆5000億円)を超えた。
 欧州は昨年、英国、スペイン、オーストリアで展開しているマーケットプレイスを閉鎖し、成長が見込めるフランスとドイツに絞り込むよう方針転換した。両国では流通総額と会員数が拡大している。
 楽天は今後、メディカル事業にも進出していく。新しいがん治療法とされる光免疫治療の商業化を目指す米国ベンチャー企業に三木谷浩史社長が取締役会長に就任しており、日本を中心にメディカル事業を推し進めていきたいとしている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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