進化するメールマーケティング/顧客に合った配信で売上拡大/システムは機能が進化<全文>

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 メールマガジン(メルマガ)は通販事業者にとって売り上げに直結する重要なツールの一つだ。スマートフォン(スマホ)の普及でSNSによる販促が注目を集めている一方、メルマガを重要視している企業は数多い。HTMLを使用してコンテンツを豊かに見せたり、セグメントを分けて一人一人に合った内容で配信するなど、支援会社の機能の充実化も進む。通販事業者はメール配信システムを提供する各社の付加サービスなどを知る必要がありそうだ。
(特集6、7、8、9、10面に)

海外通販でメルマガ活用
 メールマーケティングに力を入れ、売り上げアップを狙う通販事業者が増えている。
 メルマガから一定の売り上げを確保している夢展望は、メールマーケティングの重要性を認識し、セグメント分けしたメール配信を積極化している。
 中古車の輸出販売などを手掛けるエスビーティー(本社神奈川県、柳田裕一社長)は、新規事業として海外向け通販を準備している。海外顧客に向けた日本のサービスレベルの高さを示すため、メールを積極的に活用する考えだ。
 こうした動きに合わせ、メール配信システムを提供する会社では、システムのバージョンアップが進んでいる。

DMPと連携
 マーケティング支援のエクスペリアンジャパンは、メール配信システムとDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を連携。メールを開封していない人にはフェイスブックで広告を掲載するなど、メールだけにとどまらない販促を可能にしている。
 スマホの普及により、SNSによる販促を始める通販事業者が増えた。SNSはGPSなどを活用したタイムリーな情報提供に強みを持つが、事業者の間ではメルマガによるコミュニケーションを重視する向きが依然強いようだ。
 メール配信システムを提供するブレインでは、「一番見てくれているのはメールだと感じる」と強調する。
 PC、スマホ、携帯電話を持つ人の大半はメールアドレスを保有しており、通販の会員登録時に聞きやすい情報のため、より多くの顧客に情報を伝える手段として優れているとの指摘もある。

SNよりメルマガから購入
 中小企業向けクラウドサービスを提供するラクスは年に2回、メルマガを配信する側と、メルマガを登録している一般消費者に対してメール配信に関する調査を実施している。
 今年3月に消費者に対して行った調査では、半数以上がメルマガから商品やサービスを購入したことがあると回答(図1)。一方、フェイスブックやLINEから購入したことがある割合は2~3%にとどまった。
 また、メルマガで購入した人のうち、26・5%が「欲しいと思っていた商品が紹介されていた」と回答(図2)。購入履歴やサイトの閲覧履歴などを分析して最適なメールを送ることの有効性を示している。
 また、11・0%の人が「商品の写真や紹介が魅力的で欲しいと思うようになったから」としており、HTMLを使ったコンテンツ性も重要になっているようだ。
 スマホでメルマガを見る人が増えている現在、端末の画面サイズに対応させてデザインや動作を最適化する「レスポンシブデザイン」の需要が増しているという。
 件名のインパクトだけで開封させる時代は終わり、開いたときの印象にも配慮しなければならなくなっている。メールマーケティングの進化は今後も発展していきそうだ。

(続きは本紙11月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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