機能性表示食品制度は、来春の走り出しまでいよいよ大詰めを迎えている。消費者委員会はこのほど、制度を大筋で了承。施行までのスケジュール感もより明確化してきた。「免疫」「疲労」など、どう扱うかに注目が集まっていた機能性表示についても、消費者庁はこのほど、本紙取材に対して一定の考え方を示した。制度の中身が明らかになってきたことから、事業者の取り組みも本格化しそうだ。ただ、中途半端なエビデンスで機能性表示をした場合、手痛いしっぺ返しを食うリスクもある。事業者には慎重な取り組みが求められる。
「ガイドライン公表、年内とは言ってない」
消費者庁は11月4日、消費者委員会で、機能性表示食品制度について諮問を行った。パブリックコメントの結果を反映した食品表示基準案を示しながら、消費者委に制度の内容を説明。消費者委は、「改善を要する部分もある」(河上委員長)としながらも制度の内容を大筋で了承した。消費者委によると、食品表示部会で審議し、終わり次第、消費者委員会本会議で再度議論するという。
「年内に制度のガイドラインが出る」と期待されている件について、消費者庁食品表示企画課の塩澤信良食品表示調査官は10月29日、記者からの取材に応じ、「消費者庁として年内にガイドラインを出すと言ったことはない」と否定。ガイドラインの公表までには、まだ時間がかかりそうだ。
「免疫」などの表示の扱いについても言及
10月29日の取材で消費者庁は、「シミ」「免疫」「疲労」「関節」といった、扱いが注目されている機能性表示についても言及。塩澤調査官は、「免疫の表示は、一般的にいえば、難しいと考えている」との考えを示した。「何をして体全体の免疫が上がったと言えるのかが明確ではないからだ。一つの数値が上がっても、体全体の免疫が上がったと言えるかというとそうではない」と説明した。ただ、「例えば、免疫細胞の一つであるNK細胞が活性化したというデータが得られた際に、『NK細胞が活性化する』と表示することは可能か」との問いには、「さまざまなことを現在検討しているところだ」と言葉を濁した。
シミに対する機能性表示については、「現在、厚生労働省と調整している。消費者庁だけで決められない問題だ」(同)と話した。
疲労については「病気の人の疲労が健康な状態まで改善するというのはだめだが、健常者の疲労がある程度改善するということならば、それはいいだろう。データとしては、主観的な評価についても対象になることが示されており、一般的に認められるデータがあれば、そうした表示は可能だと考えている」(同)という。なお、主観的評価とは、痛みや疲労などの被験者個人の主観的な感覚などを評価する手法のこと。
今回の制度では、健常者のデータが必要になるとしている。となると、変形性膝関節症患者のデータを基に「関節の健康」をうたうことはできない。これに対し消費者庁では、「EUでも関節症の人の組織は、普通の組織ではないので、一般の人にあてはめられないという理由で認められていない。一般的にあてはめられるかどうかが重要だ」(同)と説明。一方で、「例えば、健常者の踏み台昇降運動後の関節の回復などのデータで関節についてうたうのはどうか」という問いに対しては「健常者のデータがあるならば問題ないのではないか」(同)との見解を示した。
(続きは本紙11月13日号で)
〈機能性表示食品制度〉 「免疫」「疲労」などの扱い明らかに/事業者に求められる慎重な対応
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