ECでもAI導入目立つ/効率化、満足度、来店率で効果も

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アスクルが導入したAI型チャットボットの画面

アスクルが導入したAI型チャットボットの画面

 通販実施企業の間で人工知能(AI)を導入する事例が目立ってきた。アスクルは、個人向けECサイト「LOHACO(ロハコ)」の顧客からの問い合わせ対応にAI型のチャットボットを活用し、顧客満足度の向上と省人化を進めている。はるやま商事は今年6月から、顧客向けの販促にAIを活用。顧客に適した商品を提案することで購入率や購入単価のアップを狙う。AIを活用した支援サービスも増加している。


■6.5人分の省人化

 アスクルは14年9月に、パソコンから「ロハコ」にアクセスする顧客からの問い合わせに対応するAI型チャットボット「マナミさん」を導入した。今年5月からは、スマホ・タブレット向けサイトにも導入している。テキストベースのチャットで顧客の問い合わせに回答している。業務効率化と省人化、顧客満足度の向上が狙いだ。
 「ロハコ」の問い合わせデスクの対応時間は午前9時から午後6時までだが、問い合わせ件数の約4割が受付時間外に寄せられていたという。「マナミさん」の導入により年中無休で対応できる体制となり、夜間に購入する顧客からの問い合わせに応じている。
 今年3月までに、問い合わせ件数の3分の1をカバーしているという。同社によると、有人で対応した場合と比べると6.5人分の省人化を実現したとしている。省人化により、オペレーターはより高度な内容の問い合わせに力を注げるようになった。
 16年5月期の「ロハコ」の売上高は前期比64.7%増の328億4500万円。売り上げの拡大に伴い顧客からの問い合わせ件数は増加しているが、チャット対応が増えた分、電話やメールでの問い合わせ比率は低下傾向にあるという。
 スマホ・タブレット版のチャット対応の開始と同時に、機能の追加も行った。顧客の問い合わせ内容がポジティブなものかネガティブなものかを判断することで、キャラクターの表情や回答文の出し分けができるようになった。また、問い合わせがあった時刻や季節を踏まえて挨拶の言葉を変えたりもする。顧客に親近感を抱かせることでリピート率や満足度の向上につなげたい考えだ。
 アスクルは今後も、顧客対応以外のさまざまな領域でAIを積極的に活用していくとしている。

(続きは、「日本ネット経済新聞」8月25日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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