【楽天戦略共有会】ジャンル戦略強化を発表/「違反点数制度」「品質向上制度」も説明

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戦略共有会に登壇した河野奈保上級執行役員

戦略共有会に登壇した河野奈保上級執行役員

 楽天は7月20日に開催した出店者向けのビジネスイベント「楽天EXPO」の戦略共有会で、今年1月から始めた商品ジャンルごとに販売戦略を強化していく「ジャンル戦略」を今後さらに強化していくと発表した。楽天の今後の出店者支援や、広告の効果開示をより分かりやすくしていくほか、9月から開始する「違反点数制度」などについても説明した。河野奈保上級執行役員による講演内容を紹介する。


■戦略が転換率向上に効果

 「ジャンル戦略」では、(1)ファッション(2)ホーム&ライフ(3)フード(4)リテール ーーに分けてそれぞれに合った施策を行っている。
 ファッションは画像が重要なため、上半期に商品ページに掲載できる画像枚数を9枚から20枚に拡大したことにより、商品ページからの転換率は約60%向上した。ブロガーと店舗をマッチングさせるイベントも開催し、ブロガーを通じて誘客する動きが出ている。
 ホーム&ライフでは外部メディアとの連携を進めている。現時点では、インテリアの情報共有サイト「RoomClip(ルームクリップ)」やキュレーションサイト「iemo(イエモ)」と連携している。
 こうしたサイトから流入するユーザー層は10~30代の女性が多く、「楽天市場」のボリューム層とは違うユーザーが多く獲得できている。また、その商品が欲しいと思って流入するため、客単価も高い傾向にある。下半期も外部メディアとの連携を進めていく。
 フードではこれまで、スイーツ分野で店舗が応募した商品をパティシエや専門家に試食してもらい、表彰するイベント「スイーツグランプリ」を開催してきた。この仕組みをほかの食品にも拡大して「認定プログラム」を導入する。選ばれた店舗には認定ロゴを渡し、プロモーションに使えるようにする。
 店舗間でコラボレーションした詰め合わせ商品の展開も考えている。このほか、ワインのラベルを画像認識してその商品が買えるワインアプリも年内に配信したい。
 リテールでは、商品の店頭受け取りを開始した。自転車販売の「サイクルベースあさひ楽天市場店」では店頭受け取りを開始してから売り上げが向上している。安心感や店頭での付属品の購入にもつながっている。
 各ジャンルのトップページにある「お薦め商品」で、そのユーザーが過去に買った商品や価格帯をもとに商品をお薦めするパーソナライズ化をしてから、「お薦め品」からの転換率が5・25%向上している。


■広告効果を分かりやすく

 「楽天市場」の流通総額におけるモバイル比率は6割を超えた。多くのユーザーがスマートフォン(スマホ)から来店していると思ってページを作ってほしい。
 今年4月、高いポイント還元率で販売する「楽天スーパーDEAL(ディール)」に、店舗運営システム「RMS」からエントリーできる機能を追加した。それにより登録商品数が劇的に増え、売り上げも好調に推移している。セールだけでなく、店舗には楽天の強みであるポイントをキックバックする「楽天スーパーDEAL」にも挑戦してほしい。
 今年、当社にグループ入りしたEC支援サービスのハングリード(本社東京都)が提供する商品一括登録サービス「アイテムロボット」を、今秋から商品一括登録サービスを利用している店舗が無料で利用できるようにしていく。自社サイトや他モールも一元管理できる。
 広告の効果開示も、今までのアクセス数、クリック数などの効果だけでなく買い物かごへの到達率、購入率も見られるようにした。PCで広告を見て、その後スマホアプリで購入したといったデバイス転換率も分かるようになった。


■優良店舗にメリットある制度

 9月から「違反点数制度」を開始するが、これはあくまでも同じ違反行為を繰り返す店舗への厳しい対応だ。どのような運営が違反に当たるか毎日問い合わせが来ている。問い合わせの多い内容はすぐに解決できるようQ&Aページも作った。
 一方で、しっかりユーザーに向かい合っている優良店舗にとってはプラスになる「品質向上制度」も開始する。優良店舗はサーチ結果の表示順位を上げたり、アイコン表示などでユーザーに伝わるようにしたいと考えている。
 楽天は店舗と二人三脚でクオリティーを向上させていく。そこに新たなテクノロジーを追加してさらに進化する「楽天市場」を作っていきたいと思っている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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